評価Sをいただいた慶應通信国際貿易論の代替レポートです。ヘクシャー=オリーン・モデルと、リカード・モデルの相違点について論じています。
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リカード・モデルは、労働生産性の相対的格差によって比較優位を決める理論である。一方、ヘクシャー=オリーンモデルは、労働と資本という生産要素(賦存要素)の違いによって比較優位を決める理論と定義される。
主な相違点には、生産要素の数がある。リカード・モデルは、投入される生産要素が労働力という1生産要素に限られるのに対し、ヘクシャー=オリーンモデルは、労働力と資本の2生産要素が投入される形となっている(斉藤、2015年)。
さらに、両モデルは、設定される前提条件が異なる。例えば、リカードモデルは、生産技術(労働生産性)に2国間で格差が生じている一方、ヘクシャー=オリーンモデルは2国間で消費者の選好、生産技術は共通である。
この前提条件の違いは、貿易利益の源泉に差を与える。比較優位の概念では、貿易利益の源泉は、財の相対価格の決定因子である生産要素の賦存量と消費者の選好、生産技術の3つで決まる。これを踏まえると、リカード・モデルは、2国間で生じる生産技術の差をもとに、生産活動を比較優位のある特定分野に特化させることで得られる利益に貿易利益の源泉がある。一方で、ヘクシャー=オリーン・モデル...