企業はそれぞれ経済的利潤を追求する経済単位である。各々の企業が利益獲得を目指して活動すると、当然ながらそこに競争が生まれる。競争のなかで業界平均を上回る利益、すなわち超過利益を生み出すべく、企業は競争上の条件を自らに有利なものに変えていこうとして活動していく。具体的には、企業はまず?市場の創造、次いで?コストの引き下げを目指すことになる。以下、上記2点をより詳細に述べる。
競争上の条件を自らに有利なものにしたい企業は、まず新商品を開発することによって自らに有利な市場を創出しようとする。今までにない価値を持った商品を提供すれば、より多くの超過利益を得る事が出来るからである。しかし、これによって新しい市場が創出されると、競争相手の他社も超過利益を得るべく参入して来る。これによって価格は低下し、次第に市場は飽和状態となり、最終的には企業の得る超過利益はゼロとなる。
こうして超過利益がゼロになると、各企業はコストを引き下げる事によって超過利益を確保しようと努力することになる。ある商品を同じ価格で販売するならば、より低いコストで商品を顧客に提供した企業がより多くの超過利益を得る事が出来るからである。しかし、市場における競争がある限り、他社もコスト削減の努力を続けており、結局は価格が低下していく。これによって最終的にコスト引き下げによる超過利益もゼロとなる。
以上を経て価格競争が収束すると、企業は製品の差異化や更なる市場の創造といった努力を続け、商品が多様化・差異化していくことになるのである。
上記の競争プロセスにおいて、諸企業は各々の利潤を追求しているだけである。しかし顧客の側から見ると、競争の結果として新たな価値を持った商品が生まれ、価格は引き下げられ、製品は多様化しており、結果的に顧客が利益を享受している。
企業競争のダイナミズム/松下幸之助と事業部制
企業競争のダイナミズムとは何か。
企業はそれぞれ経済的利潤を追求する経済単位である。各々の企業が利益獲得を目指して活動すると、当然ながらそこに競争が生まれる。競争のなかで業界平均を上回る利益、すなわち超過利益を生み出すべく、企業は競争上の条件を自らに有利なものに変えていこうとして活動していく。具体的には、企業はまず①市場の創造、次いで②コストの引き下げを目指すことになる。以下、上記2点をより詳細に述べる。
競争上の条件を自らに有利なものにしたい企業は、まず新商品を開発することによって自らに有利な市場を創出しようとする。今までにない価値を持った商品を提供すれば、より多くの超過利益を得る事が出来るからである。しかし、これによって新しい市場が創出されると、競争相手の他社も超過利益を得るべく参入して来る。これによって価格は低下し、次第に市場は飽和状態となり、最終的には企業の得る超過利益はゼロとなる。
こうして超過利益がゼロになると、各企業はコストを引き下げる事によって超過利益を確保しようと努力することになる。ある商品を同じ価格で販売する...