1 被疑者への取り調べの可否について、憲法33条、刑訴法199・204・205条及び207条は、取り調べ目的での身柄拘束を禁止しており、被疑者は出頭を拒み、又は出頭後いつでも退去することができるが、一度要件を満たして逮捕・勾留された被疑者に関してはこれを取り調べることを認めている(198条1項)。
もっとも、通常の取り調べは、密室で行われることが通常であり、外部からの可視性が低く、強制や拷問などの行為が行われたという争いが生じた時、結局は法執行官に有利な判断が示されることになると、国民の不信感を募らせることになり得るし、逮捕・勾留された被疑者は外部と遮断され、平常心を失った被疑者が供述をしなければならないものと思って供述をしたり、真実に反する供述を行う危険が伴うという問題点がある。そこで、逮捕・勾留された被疑者の供述の自由の確保をするためにはいかなる要件が必要か。供述証拠については自白法則の適用があり(憲法38条2項、刑訴法319条1項)、基本的には任意性に疑いのある自白(319条1項)の、証拠能力は否定されるが、それだけでは、証拠能力の判断において間接的に捜査・取調を規律するにすぎず...