統計学:相関関係と因果関係の混同について
統計を学ぶにあたり、2つの事象についての相関関係が両者の因果関係を意味しない、ということを基本としておさえておく必要がある。ここでは両者の違いについて、日常的に目にするであろう多くの事例とともに整理しておく。
統計における「相関関係」とは、ある2つの事象間に、一方が変化するに伴ってもう一方も変化する、という関係性があることを意味する。一方が増加するにつれて他方も増加する場合、両者間には「正の相関関係」が、一方が増加するにつれて他方が減少する場合には「負の相関関係」があるといえる。一定の速度下での時間と距離の関係のような比例関係も相関関係の一種であるが、通常は、ある地域の降雨量と川の水位、読書量と学業成績などのように、調査結果や計測データの分析に用いられる。両者の間にどの程度強い関係があるかは「相関係数」によって表される。
「因果関係」とは、一方が原因となって、他方の事象が起きることを意味する。歯を磨かないことが原因で虫歯になる、走ったことで目的に早く着く、などの関係である。
ここで注意すべきは、2者間に相関関係が観測されただけでは、そ...