玉川大学通信教育課程学芸員コースの「日本美術史」の課題(第2分冊)です。
日本の美術の流れ(桃山時代〜現代)とその特質(通史)
1. 桃山時代(1573〜1603年)
桃山時代は半世紀に満たない短い期間だが、織田信長や豊臣秀吉などの多くの武将が自己の権威を誇示するために城の造営に取り組んだことで、建築やその内装などの分野において豪華絢爛な文化が生まれた。建築では、天守閣が桃山時代の代表的な建築様式であり、現存する天守として松本城天守、彦根城天守などがあるが、特に姫路城は天守の傑作といわれている。豪華な城郭建築が進められた一方で、千利休が茶の湯を広めたことで、妙喜庵待庵などのわびさびという言葉が似合うような茶室の建築も行われるようになった。絵画の分野では、建物内部を装飾する障壁画、特に金碧障壁画がめざましい発展をみせた。狩野永徳作、国宝「唐獅子図屏風」など豪華で力強い作品が数多く作られた。室町水墨画に永徳の新しい様式を取り入れ、新たな表現を目指した長谷川等伯なども「松林図屏風」(東京国立博物館)をはじめとする作品を制作し活躍した。また、キリスト教の伝道に必要な宗教画が持ち込まれ、洋風絵画も描かれるようになったという点もこの時代の絵画を語る上では欠かせないだろ...