佛教大学通信の法律学概論(設題2)2024年度の合格リポート(80点)です。リポート作成の参考にしてください。
罪刑法定主義について概説せよ。(3,200文字)
1.はじめに
罪刑法定主義とは、「法律なくして犯罪なし、法律なくして処罰なし」①※注1との格言があるように、人を犯罪者として裁く際には、「犯罪とそれに対応する刑罰は、法律によって予め定められていなければならない」①という民主主義の過程で制定された近代法の大原則のことである。罪刑法定主義には、法律主義と予測可能性の保障という2つの重要な要請を含んでいる。この原則によって、「犯罪と刑罰は、法律によって予め定められて」①いなければならず、また、「犯罪と刑罰は適正なもの」①でなければならないという役割を果たしている。日本国憲法第31条にも、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」②と明記されており、法定手続きの保障や適正手続きの保障が保たれている。今回、罪刑法定主義の原則がなぜ存在するのか、なぜそれらが守られる必要があるのか、さらには罪刑法定主義からの派生原則について考察しながら、罪刑法定主義について概説していきたい。
2.罪刑法定主義の定義と歴史的背景
この原則が形成さ...