*株主代表訴訟の対象となる責任の範囲
株主代表訴訟の対象となる役員等の責任の範囲については、大阪高判昭和54年10月30日の事例を挙げて論じる。
本件は、A株式会社の株主であるXが、本件土地はYらの先代亡ZがA株式会社の代表取締役として買い受け自己名義に所有権移転登記を経由したものであると主張して、A株式会社のために真正な所有名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をなすべきことをYらに求めた事案である。
本件における両者の争点としては、土地所有権移転登記義務が取締役の責任に当たるか否かである。ここで、取締役の責任の範囲が論点となる。
本判決は、不動産所有権の真正な登記名義の回復義務に...