企業評価の視点
提供機関 : ALLIEDコンサルティング株式会社
提供機関 URL : http://www.allied-c.co.jp/page023.html
最近、従来は優良企業とされてきたいくつかの大企業が反社会的な行為によって非難を浴びているが、企業の評価に大きな欠陥があったことが原因の一つと考えられる。従来のジャーナリズムや金融関係者などは収益中心の評価(結果評価)を行っていて、それが社会の評価にもなっていた観があるが、そのような評価ではそれ自体が重大な瑕疵を持つし、一般の拝金主義を助長し、企業の指向をそちらに誘導する結果を生み、社会全体への悪影響も少なくない。
企業の評価基準や評価の視点は単に投資家のためのものでもないし、興味本位のランキングの問題でもない。これが被評価側の企業の姿勢や方向にまで大きな影響を及ぼすから、いわば社会の指針の一つとして捉えられなくてはならない。この評価基準は社会における企業の役割が大きくなればなるほど重要性を増す。
このことに鑑み、戦略経営において考慮すべきバックグラウンドの一つとして図のような評価視点を提示する。
優良企業の要件(解説)
21世紀は構成要素として企業が社会に占める割合が大きい企業社会である。中でも大企業と呼ばれる大きな組織の存在は極めて大きく、そこが社会そのものであると言っても過言でない。
これはGDPと企業の売り上げの対比をしても容易にわかる。2001年の日本のGDPはおおよそ513兆円であるが、売り上げの大きい企業の100社の連結売り上げ合計は303兆円であってGDPの約6割に相当する。
そして、この構図は米国でも同じであって、資本主義経済が成熟した国家はこのようにならざるを得ない。
わずか100社もしくは数百社の企業が国の経済を支え、繁栄の鍵を握っていて、主要企業の開発力や生産力が国力そのものでもあると言っても差し支えない。
従って、社会や国家がその力を伸ばす方向を指向することが必要であるが、利潤追求を旨とする企業に社会の基盤が存在するとすれば、企業のあり方はもっと問われなくてはならない。
西欧では伝統的に企業性悪説が浸透していて、市民はこの監視を怠らないが、日本にその気風は希薄である。また、日本では米国に比較しても企業を縛る法律が少ない。
企業性悪説が好ましい訳ではないし、必ずしも法的な網も充実している方が良いわけではないが、それがない分、企業自身が自律的に自らの姿勢をただす必要は大きい。
従来企業の優良さは利益率、成長性、新しいユニークな製品などに顕れる開発力、売上高などで計られて来た。これらは効率や競争力の結果指標であって、原因に遡ればその企業のシステムの優良さにたどり着くものであるから評価指標として適切でないとは言えない。しかし、これらの評価指標は直ちに企業が社会的に良い存在であり、社会にとって有益であることを意味しないし、ましてイコールではない。
そもそも企業が利潤追求の組織であるとの定義や、自らその目的は利潤であると宣言することは企業社会となった現代では適切ではない。
本来、優良な製品やサービスを提供した結果、競争に勝ち残り、社会的効率を向上させた報償として適正な利益が得られるという前提での利潤追求や利潤量評価であるから、それらの前提条件を抜きにして単に利潤だけをクローズアップすることがおかしいのであるが、従来はそれらを指摘し是正を要求しなくても良い程度の存在でしかなかったとも言える。
しかし、前述の如く企業が社会の中核となり経済の鍵を握る状況になれば話は別で、企
企業評価の視点
提供機関 : ALLIEDコンサルティング株式会社
提供機関 URL : http://www.allied-c.co.jp/page023.html
最近、従来は優良企業とされてきたいくつかの大企業が反社会的な行為によって非難を浴びているが、企業の評価に大きな欠陥があったことが原因の一つと考えられる。従来のジャーナリズムや金融関係者などは収益中心の評価(結果評価)を行っていて、それが社会の評価にもなっていた観があるが、そのような評価ではそれ自体が重大な瑕疵を持つし、一般の拝金主義を助長し、企業の指向をそちらに誘導する結果を生み、社会全体への悪影響も少なくない。
企業の評価基準や評価の視点は単に投資家のためのものでもないし、興味本位のランキングの問題でもない。これが被評価側の企業の姿勢や方向にまで大きな影響を及ぼすから、いわば社会の指針の一つとして捉えられなくてはならない。この評価基準は社会における企業の役割が大きくなればなるほど重要性を増す。
このことに鑑み、戦略経営において考慮すべきバックグラウンドの一つとして図のような評価視点を提示する。
優良企業の要件(解説)
21世紀は構成要素として企業が社会に占める割合が大きい企業社会である。中でも大企業と呼ばれる大きな組織の存在は極めて大きく、そこが社会そのものであると言っても過言でない。
これはGDPと企業の売り上げの対比をしても容易にわかる。2001年の日本のGDPはおおよそ513兆円であるが、売り上げの大きい企業の100社の連結売り上げ合計は303兆円であってGDPの約6割に相当する。
そして、この構図は米国でも同じであって、資本主義経済が成熟した国家はこのようにならざるを得ない。
わずか100社もしくは数百社の企業が国の経済を支え、繁栄の鍵を握っていて、主要企業の開発力や生産力が国力そのものでもあると言っても差し支えない。
従って、社会や国家がその力を伸ばす方向を指向することが必要であるが、利潤追求を旨とする企業に社会の基盤が存在するとすれば、企業のあり方はもっと問われなくてはならない。
西欧では伝統的に企業性悪説が浸透していて、市民はこの監視を怠らないが、日本にその気風は希薄である。また、日本では米国に比較しても企業を縛る法律が少ない。
企業性悪説が好ましい訳ではないし、必ずしも法的な網も充実している方が良いわけではないが、それがない分、企業自身が自律的に自らの姿勢をただす必要は大きい。
従来企業の優良さは利益率、成長性、新しいユニークな製品などに顕れる開発力、売上高などで計られて来た。これらは効率や競争力の結果指標であって、原因に遡ればその企業のシステムの優良さにたどり着くものであるから評価指標として適切でないとは言えない。しかし、これらの評価指標は直ちに企業が社会的に良い存在であり、社会にとって有益であることを意味しないし、ましてイコールではない。
そもそも企業が利潤追求の組織であるとの定義や、自らその目的は利潤であると宣言することは企業社会となった現代では適切ではない。
本来、優良な製品やサービスを提供した結果、競争に勝ち残り、社会的効率を向上させた報償として適正な利益が得られるという前提での利潤追求や利潤量評価であるから、それらの前提条件を抜きにして単に利潤だけをクローズアップすることがおかしいのであるが、従来はそれらを指摘し是正を要求しなくても良い程度の存在でしかなかったとも言える。
しかし、前述の如く企業が社会の中核となり経済の鍵を握る状況になれば話は別で、企業を売上高や利益率などだけで評価し、そこに信用を見いだすことは社会全体にとって大きな問題を生じさせかねない。
現在のように企業が社会において大きな地位を占めない時代でさえ、歴史を変え世界をも危機に陥れた例がいくつもある。第一次大戦の背後には武器、兵器メーカーがあったことは良く知られていることであるし、現在のパレスチナ紛争の遠因はユダヤ系大財閥ロスチャイルドが英国政府の戦費調達の見返りに2千年近くも前の国土を復活させる約束を取り付けたことにある。
以上の例を引くまでもなく、大企業はその影響力と社会的存在の大きさを考えれば自らを律し、社会に十分適合しなくてはならない。日本ではおおむね社会的によき存在であったが、もし、大企業にその自覚と明確な行動がとられないならば日本企業はヨーロッパのように常に一般市民から監視され時に敵視され、米国のように常に法治される対象となる。
この状況自体は重大な問題とは言えないものの、市民、企業両者にとって決して好ましい姿とは言えない。
欧米に先駆けて日本企業は自覚を持ち行動を起こし、社会の優れた構成要素となるべきである。日本社会が従来のように欧米モデルの追従に専念していては競争にも勝てないばかりか、日本の存在意義さえも薄れてしまう。
国際化時代において日本が果たすべき役割は繁栄のシステムを模索し、実践し最も適切な新しい国家、社会像を提示することにあるからである。
全く新しい社会システムを創り上げたり、平和と秩序をもたらす思考方法を普及させることは最も望ましいが、その前に今の日本社会の優れた点を伸ばし、悪しき部分を取り除くことによって繁栄し、優れた社会を作り上げて、世界の先進モデルとなる役割を果たすべきである。
世界を見渡してもそのようなことができる国はきわめて限られているが、その中でも日本は21世紀の社会モデルとなる責務を既に負っていると言っても良いほど条件が揃っているし、それは比較的容易にできる貢献である。
このテーマは別途言及することとするが、ともかく、日本企業は社会的な面をも含めた優良な存在を目指すことが要求されているのである。
もしかして、従来の評価項目に「社会適合性」が加えられたものが21世紀の優良企業の条件となるべきであるし、日本企業はその先頭に立たなければならないのである。
そのような企業は具体的には以下のような項目を行動として示すことが求められる。
・企業の最高、最終目的としての社会適合性を掲げたエシックスの明確化
・存立基盤である社会の規範優先原則の標榜と遵守
・環境問題や人権など普遍的社会正義の遵守とそれへの協力
また、その評価は上記に掲げた5つの視点から個別の評価項目をもって行われるべきである。(現在は事業の優良さを、特にその効率の良さを中心に結果で計っているに過ぎない)
情報提供先 -> http://www.allied-c.co.jp/page023.html