溶液のpHについて圧依存性がある酢酸、カコジル酸、リン酸そしてTRISバッファーについて重水溶液中で300Mpaまでの圧力において、光学pH指示薬である2.5-ジニトロフェノールとp-ニトロフェノールを使いpHを測定した。その結果、D2O溶液中でこれらのバッファーの弱酸のイオン化定数は圧依存性を示した。Neuman らはH2O溶液中においてこれらのバッファーのKaの圧依存性を測定し、RT ln(Kp/Ko)=−ΔVa°P +0.5Δκ°P 2 式を使い、ΔVa°は大気圧における電離の限界容量変化であることを示した。そして、Δκ°はΔVa°の圧依存性を反映していることを述べた。[J. Phys. Chem. 1972, 77, 2687] 本実験ではこれらの弱酸のイオン化定数の圧依存性において有効な重水素の同位体効果は見られなかった。
Introduction
この研究はT4リゾチームのそれぞれの部位のアミド水素−重水素の交換における活性化体積の考察から動機を得た。重水中のアミド水素−重水素の交換率はNMRにより測定し、それは溶液のpHに強く依存していた。動力学データの解釈はD2O溶液のpHやpDの注意深い調整が必要であるが、測定した圧力の幅において溶液のpHやpDを一定に保つことを試してみるしかない。なぜなら、弱酸として用いたバッファーのイオン化定数は圧力によって変化するかもしれない。いくつかのバッファー系においてH2O中での圧力との依存性について研究されているが、一般に生体分子NMR測定で使用されるようなD2Oについては報告されていない。それゆえ、我々はNeumanらが行なった測定をD2Oにまで拡大した。
バッファー溶液のpHは弱酸の[HA]のpKaと酸と共役した塩基[A]の濃度の割合に依存する。
(1)
バッファー濃度が十分高い場合、水のイオン化定数が式1の第二項による供与により変化することにより水素イオン濃度がシフトし、pHの変化はバッファーとpKaの変化を興す。
工業無機化学特論Ⅰ
J. Phys. Chem. B 1998, 102, 1002-1004
Pressure Dependence of Weak Acid Ionization in Deuterium Oxide Solutions
重水中における弱酸のイオン化の圧依存性
T.Kevin Hitchens and Robert G.Bryant*
Department of Chemistry, University of Virginia, Charlottesville, Virginia 22901
Received: August 21, 1997; In Final Form: November 17, 1997
溶液のpHについて圧依存性がある酢酸、カコジル酸、リン酸そしてTRISバッファーについて重水溶液中で300Mpaまでの圧力において、光学pH指示薬である2.5-ジニトロフェノールとp-ニトロフェノールを使いpHを測定した。その結果、D2O溶液中でこれらのバッファーの弱酸のイオン化定数は圧依存性を示した。Neuman らはH2O溶液中においてこれらの...