生体計測と信号処理

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    資料紹介

     デジタルカメラやホームページの画像など、いわゆるデジタル画像に接する機会が多いので、まず画像処理に関して実際的に利用する立場から整理しておきたいと思う。
     画像圧縮については?でも述べたが、圧縮には圧縮前の画像を完全に再現できる可逆性のものと完全には再現できない不可逆性のものがある。不可逆圧縮は画像を劣化させてしまうものの、人間の肉眼で判別できる程の劣化ではなく、可逆圧縮に比べて圧縮率を非常に大きくすることができるという強みを持つ。ちなみにJPEGは不可逆圧縮技術の1つである。また、画像を圧縮せずそのまま記録する無圧縮方式があり、BMPはその一例である。
     JPEGは「Joint Photographic Coding Experts Group」の略称であり、元は画像圧縮アルゴリズムを制定する目的で設立された団体を指していたが、現在では同時に、その団体が制定した圧縮アルゴリズムそれ自体を示す言葉として広く用いられている。JPEG方式の効率性の高さはとりわけ風景や写真データの圧縮において発揮されるが、コンピュータグラフィックスの圧縮には向かない。JPEGの応用範囲は、電子スチルカメラ、画像データベース、テレビ会議、カラープリンタの印刷処理など多岐に渡る。
     JPEGが静止画像の圧縮技術であるのに対し、MPEG(Moving Picture Coding Experts Group)はデジタル動画を圧縮する技術である。MPEG−1はH.261をベースに標準化されたもので、画像内での物体の動く方向を予測し、その速度ベクトルだけを保存することでデータを圧縮している。その開発の際にはCD−ROMなどの蓄積メディアでの保存・再生が考慮されており、再生品質はVTR並みだという。

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    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    Ⅰ、講義内容の要約
     生体に何らかの物理的信号を与え、生体からの返信号を計測することで、その生体が持つ機能的・形態的情報を抽出することが、大きな目的である。その際、我々に解釈しやすい信号を得ることが必要であるが、計測原理上の制約や、生体に与える損害をできる限り最小にして、すなわち非侵襲的に計測を行いたいという制約から、必ずしも解釈容易な信号が得られない。このような場合、適切な形に信号を処理することが不可欠となり、例えば何らかの非線形的処理を行うなどの処方が考案されている。また、信号からいかなる方法で情報を取り出し、解釈するかという情報処理の問題をも内包しており、情報なるものの数学的な定義の確認が初段階としてなされるべきである。そこで、まず情報に関わる物理量の定義を、順を追って整理した。
     事象Xの持つ情報量I(X)=-logP(X) (P(X)はXが生起する確率)
     エントロピーH(A)=k=1{P(Ak)I(Ak)} (なお、0・log0=0と約束する)
    つまり、エントロピーは事象Akが起こったときに得られる情報量I(Ak)の期待値である。Hが大きい程分布は一様となり、小さい程集中性...

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