まず、材料力学的アプローチについて整理する。歴史的に見て、材料強度に関して最初に系統的な実験を行ったのは、絵画家としても有名なレオナルド・ダ・ヴィンチであった。約500年前において、現在のような優れた試験装置がなかったにも関わらず、独創的な手作りの試験装置を用いて鉄線の引張強度を調べたのである。鉄線が破断するまでに砂受けカゴの中に入った砂の重さから鉄線の破断強度を求めようとするものであった。この実験から短い鉄線ほど強度が強いことが示され、現在提唱されている最弱リンクモデルに基づいた有効体積(あるいは表面積)の考え方を示唆するような結果が得られている。
その後、ガリレオやマリオットが、はりや柱の強度試験、あるいはパイプの破裂試験などを行っている。彼らの活躍した時代から約200年を経て、応力という概念を用いた理論的・定量的な概念が、ランキンによって以下のように提唱された。この概念は現在の材料力学の根底を成すものとして非常に重要である。
最後に要約すれば、材料力学的アプローチは、破壊しないという状況、つまり荷重(着目する応力)<基準強さという式が成立するもとでの安全性を論じる立場であると言えよう。エネルギー的理論はその物理的次元を変えたバージョンの1つなのである。
1、種々の鋼構造物の安全性を確保するための設計手法として、いわゆる材料力学的アプローチと破壊力学的アプローチがある。両者の違いを具体的に説明せよ。
まず、材料力学的アプローチについて整理する。歴史的に見て、材料強度に関して最初に系統的な実験を行ったのは、絵画家としても有名なレオナルド・ダ・ヴィンチであった。約500年前において、現在のような優れた試験装置がなかったにも関わらず、独創的な手作りの試験装置を用いて鉄線の引張強度を調べたのである。鉄線が破断するまでに砂受けカゴの中に入った砂の重さから鉄線の破断強度を求めようとするものであった。この実験から短い鉄線ほど強度が強いことが示され、現在提唱されている最弱リンクモデルに基づいた有効体積(あるいは表面積)の考え方を示唆するような結果が得られている。
その後、ガリレオやマリオットが、はりや柱の強度試験、あるいはパイプの破裂試験などを行っている。彼らの活躍した時代から約200年を経て、応力という概念を用いた理論的・定量的な概念が、ランキンによって以下のように提唱された。この概念は現在の材料力学の根底を成すものとして非常に重要である。
...