■はじめに
本レポートでは、労働市場法の領域に関する判例として以下に示す事件を題材に、1)試験問題の作成、2)その模範解答、3)解説、の3点を記載するものである。
【事件名】
大誠電機工業事件・大阪高判平成15・1・28労判869号68頁
【事案の概要】
被控訴人Y社は、訴外A社との間の契約(請負契約)に基づき、A社の吹田工場内に出張所を設置し、列車部品の修理などを行っていた。控訴人Xら6名はこの出張所で働いていたが、本件請負契約が更新されないことが確定的になった時点で全員解雇された。そこで、Xは、Y社に対して解雇無効確認とともに、吹田工場で職業安定法或いは労働者派遣法違反の違法な就労を強いられたことを理由とする損害賠償を請求した。
【主な判決事由】
1) 本件業務は「派遣法上の請負」として解釈される。派遣法上の請負とは、民法上の請負を当然に含みながら、そのほかに仕事の完成を目的としない業務の委託契約などがその適用範囲とされる。本件業務が仕事の完成を目的とするものではなく、民法上の請負に該当しないとしても、そのことをもってただちに派遣法上の請負に該当しないというものではない。従って、本件業務については実態を鑑みながらも、労働者供
給事業としての適用は成り立たないものである。
■はじめに
本レポートでは、労働市場法の領域に関する判例として以下に示す事件を題材に、1)
試験問題の作成、2)その模範解答、3)解説、の3点を記載するものである。
【事件名】
大誠電機工業事件・大阪高判平成 15・1・28 労判 869 号 68 頁
【事案の概要】
被控訴人Y社は、訴外A社との間の契約(請負契約)に基づき、A社の吹田工場内に
出張所を設置し、列車部品の修理などを行っていた。控訴人Xら6名はこの出張所で働
いていたが、本件請負契約が更新されないことが確定的になった時点で全員解雇された。
そこで、Xは、Y社に対して解雇無効確認とともに、吹田工場で職業安定法或いは労働
者派遣法違反の違法な就労を強いられたことを理由とする損害賠償を請求した。
【争点】
1)請負契約でありながら、業務実態は労働者供給事業としての適用が妥当であること、
ならびに、職業安定法、労働者派遣法に対する違法性の有無
2)請負契約の終了に伴う解雇の無効と、ならびに、控訴人Xと訴外A社との雇用契約
の成立有無
【判決】
本件控訴を棄却
【主な判決事由】
1)本件業務は「派遣法上の請...