死絵とは、江戸後期から明治にかけて、主に人気役者や絵師の死亡の際し、訃報と追善をかねて出版された錦絵のこと。故人の肖像画や享年・命日・戒名・追善の句や歌、辞世などが描かれた。故人の肖像の部分は、ただ単に肖像を描くのではなく、死装束をつけ、樒(しきみ)や蓮華といった葬儀や仏事に関わるものを持たせたり、極楽への死出の旅路の様子や先に亡くなった役者を共に描いたりもした。この死に関わる物事を積極的に描き込んでいるところが、現代と異なり大変興味深いものとなっている。
死絵は、役者や絵師の訃報を伝える、いわゆる新聞の号外にあたる。情報が早ければ早いほど、売行きが期待でき、人気が高いほど死絵の数は多くなり、...