家族法
2.婚姻の効力
2-1.夫婦としての地位に関する効果
2-1-1.夫婦の氏
(1)夫婦同氏の原則
・夫婦同氏の原則・・・夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏のどちらかを夫婦の氏と
して選択しなければならない(750 条)。
・夫婦の氏の選択の現状:約97%が夫の氏を選択
(2)夫婦同氏の原則の問題点
・氏名と人格権
判例)最判昭和63年2月16日民集42-2-27
「氏名は、人が個人として尊重される基盤であり、その個人の人格の象徴であ
って、人格権の一内容を構成する。」
⇒同意なしの氏の変更は、人格権の侵害に当たる。氏の変更は不利益を生じる。
(3)改正の動向
・民法改正要綱案の骨子
①婚姻の時に、夫婦同氏、別氏が自由に選択できる。
②婚姻後に別氏から同氏への変更も、同氏から別氏への変更も認めない。
③夫婦別氏を選択した場合は、婚姻の際にその子の氏を父または母の氏のどちら
にするか予め定めておく。
④既に婚姻している者も、法律施行後1年以内に配偶者と共同の届出をすれば、
夫婦別氏を選択することができる。
2-1-2.同居協力義務
・同居協力義務・・・夫婦は同居し、互いに協力し扶助しあう義務を負う(752 条)。
=婚姻共同生活を維持するうえで基本となる義務。
(1)同居義務
・同居義務・・・婚姻が継続している限り、配偶者の一方が所有・賃貸している住
居に他方は居住できる。
┗ 同居している他方配偶者に対して明渡請求ができない。
・同居=夫婦としての同居
「家庭内離婚」のように、同じ家に居住していても夫婦としての共同生活がな
ければ同居とはいえないが、職業上の理由、入院治療などの正当な理由があれば、
一時的別居は認められる。
婚姻が破綻したり、離婚訴訟が係属中で、夫婦の信頼関係が損なわれ、円満な
夫婦生活が期待できない場合には、一方の不同居請求に対して同居を拒むことが
できる。
・夫婦の同居義務と夫婦の居住関係
婚姻が継続する限り、配偶者の一方が所有したり賃貸している住居に他方は居
住することができる。
・同居義務の不履行→他方は、同居を命ずる審判を家庭裁判所に請求できるが、
強制はできない(家事審判法9条1項乙類1号)。
⇒離婚原因になる(悪意の遺棄)。
(2)協力義務
・協力義務・・・日常生活、病者の看護、子の保育など、あらゆるものが含まれる
が、その内容は、各当事者の事情によって異なる。
(3)扶助義務
・扶助義務・・・要扶養状態に陥った場合に相手方の生活を自己の生活と同じよう
に保持する義務。
・扶助義務=相互的な経済的援助
2-1-3.貞操義務
・貞操義務・・・明文規定は無いが、不貞行為が 770 条1項で離婚原因になることか
ら導かれる義務。
2-1-4.成年擬制
・成年擬制・・・未成年者が婚姻した時は、婚姻によって成年に到達したものとみ
なされる(753 条)。
2-1-5.夫婦間の契約取消権
・婚姻中に締結した夫婦間の契約は婚姻中はいつでも一方的に取消可能。
・最判昭和42年2月2日民集21-1-88
婚姻が実質的に破綻している場合には、夫婦間の贈与は取消すことができない
として取消権の行使を制限。
・この規定の存在理由:殆どの学者が疑問視→民法改正案ではでは削除
2-2.夫婦財産制
2-2-1.夫婦財産制の意義
・夫婦財産制・・・夫婦間の財産関係を規律する制度
→お互いの財産を持ち寄って生活する。
・夫婦財産制の枠組み
①夫婦財産
家族法
2.婚姻の効力
2-1.夫婦としての地位に関する効果
2-1-1.夫婦の氏
(1)夫婦同氏の原則
・夫婦同氏の原則・・・夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏のどちらかを夫婦の氏と
して選択しなければならない(750 条)。
・夫婦の氏の選択の現状:約97%が夫の氏を選択
(2)夫婦同氏の原則の問題点
・氏名と人格権
判例)最判昭和63年2月16日民集42-2-27
「氏名は、人が個人として尊重される基盤であり、その個人の人格の象徴であ
って、人格権の一内容を構成する。」
⇒同意なしの氏の変更は、人格権の侵害に当たる。氏の変更は不利益を生じる。
(3)改正の動向
・民法改正要綱案の骨子
①婚姻の時に、夫婦同氏、別氏が自由に選択できる。
②婚姻後に別氏から同氏への変更も、同氏から別氏への変更も認めない。
③夫婦別氏を選択した場合は、婚姻の際にその子の氏を父または母の氏のどちら
にするか予め定めておく。
④既に婚姻している者も、法律施行後1年以内に配偶者と共同の届出をすれば、
夫婦別氏を選択することができる。
2-1-2.同居協力義務
・同居協力義務・...