7.地雷問題と日本外交
Ⅰ.地雷問題の現状
人道上の問題
…非戦闘員である一般市民への無差別な被害
紛争終結後の復興と開発への問題
…半永続的(50年~100年)な威力
製造が容易な上に、安価であるのに比べ、除去費用が高い
(一個の製造費用:3~10ドル⇔一除去費用100~1000ドル)
Ⅱ.国際社会の取り組み
契機
1990年初頭からの対人地雷に関する国際社会の関心の高まり
冷戦の終結
紛争の増加と地雷の使用の増加
NGOの成熟
特定通常兵器禁止制限条約(CCW)改定議定書Ⅱによる規制
CCWの地雷等に関する議定書(1980年採択)
問題点:①対人地雷の主に使用される内乱へは適用できず
②探知不可能な地雷等を禁止していない
↓
1996年5月、改正
CCW改定議定書Ⅱ: ①内乱への適用可能
②探知不可能なもの及び自己破壊装置のないもの等の原則禁止
加えて、移譲の禁止が盛り込まれる
(2003年10月の時点で日本含め70カ国が締結)
*しかし、この議定書でも依然、地雷の「生産」、「貯蔵」を禁止できず
「使用」、「移譲」も一部の悪質なもののみの禁止
Ⅲ.対人地雷禁止条約
経緯・概要
CCWによる部分的な禁止では対人地雷の抜本的な解決には至らないとの国際的批判
↓
対人地雷禁止国際キャンペーン(ICBL:International Campaign to Ban Landmines)等、NGO
対人地雷全面禁止に賛同する諸国
カナダ政府の1996年のオタワで開催した国際会議から、オタワプロセスが始まる。
対人地雷禁止条約の内容
対人地雷禁止条約「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約」(Convention on the Prohibition of Use, Stockpiling, Production and the Transfer of Anti-Personnel Mines and on Their Destruction)
基本的に対人地雷の使用、貯蔵、生産、移譲等を禁止し、貯蔵地雷の4年以内の廃棄、埋蔵地雷の10年以内の除去等を義務付ける
地雷除去、犠牲者支援についての国際協力・援助等を規定する
(締約国122カ国)
3.主な未締結国とその理由
アメリカ:朝鮮半島におけるアメリカ軍基地等の安全保障の理由
ロシア :国内の原子力関連施設を守ることを理由に
中国 :その長大な陸上の国境線を有するにあたり地雷は必要
韓国 :北朝鮮の侵攻に対処するために対人地雷は必要
インド :安全保障上の理由
パキスタン: 同上
Ⅳ.日本の取り組み
地雷問題と日本の役割
『他人事の地雷問題』
・日本は当初、地雷は防衛政策上必要不可欠な兵器であるとの立場を堅持
島国である日本は約7000キロメートルの長大な砂浜海岸
地雷の使用は完璧に国内のみに限定されている(武器輸出三原則等)
地雷問題を専門に取り扱うNGOが日本にはなかった
・90年代初頭:国際的な盛り上がりを見せる地雷問題
→日本のマスメディアの関心の薄さ
国内政府と外交の動き
・1995年9月CCW再検討会議に黒河内久美軍縮会議代表大使が参加
改正議定書は、①国内紛争に適用すること
②輸出制限を盛り込むこと
③自己破壊装置付き地雷使用の支持
④地雷製造、保持についてのフレキシブルな制度
→ 地雷に関する人道的観点の不足。
CCW再検討会議後、リヨンサミット直前の1996年5月末
日本政府はようやく初めての地雷問題に関する政策発表
7.地雷問題と日本外交
Ⅰ.地雷問題の現状
人道上の問題
…非戦闘員である一般市民への無差別な被害
紛争終結後の復興と開発への問題
…半永続的(50年~100年)な威力
製造が容易な上に、安価であるのに比べ、除去費用が高い
(一個の製造費用:3~10ドル⇔一除去費用100~1000ドル)
Ⅱ.国際社会の取り組み
契機
1990年初頭からの対人地雷に関する国際社会の関心の高まり
冷戦の終結
紛争の増加と地雷の使用の増加
NGOの成熟
特定通常兵器禁止制限条約(CCW)改定議定書Ⅱによる規制
CCWの地雷等に関する議定書(1980年採択)
問題点:①対人地雷の主に使用される内乱へは適用できず
②探知不可能な地雷等を禁止していない
↓
1996年5月、改正
CCW改定議定書Ⅱ: ①内乱への適用可能
②探知不可能なもの及び自己破壊装置のないもの等の原則禁止
加えて、移譲の禁止が盛り込まれる
(2003年10月の時点で日本含め70カ国が締結)
*しかし、この議定書でも依然、地雷の「生産」、「貯蔵」を禁止できず
「使用」、「移譲」も一部の悪質なもののみの禁止
Ⅲ.対人地雷禁止条...