レオナルド・ダ・ヴィンチの円形要塞 [ルネサンス美術]
この要塞は、当時普及しつつあった重火器への慎重な配慮がなされ、地下通路を巡らせ、指令の伝達や人員の移動、弾薬の補給が速やかに行えるよう設計されています。同心円上に環状の建物と堀が配され、内部にいる者には明快なプランなのですが、外部からは仲の様子を伺い知ることができません。近代的な要塞としてのさまざまな工夫が凝らされています。もし実現されていれば、これを攻略することは極めて難しそうです。
。先述の円形要塞には半月保と呼ばれる張り出し部分があり、これによって十字砲火を可能とし、死角のない防御策を求心的平面によって実現しています。これは16世紀以降、星型要塞(日本では五稜郭が好例)として普及したアイディアですが、レオナルドの円形要塞は、プランの明快さと地下道によって、内部の人間の動線が絡まないように工夫され、既に完成段階に至っています。