犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪

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    資料紹介

    ~犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪~
    【保護法益】
    国の刑事司法作用の円滑な運用である。ただし、証人威迫罪では、刑事被告事件の証人、参考人またはその親族らの私生活の平穏も保護法益である。
    <犯人蔵匿罪>
    ★ 要件
    ① 客体:「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者」である。
    ② 行為:「蔵匿し、又は隠避させ」ることである。
    ③ 結果:本罪の成立には、現実に刑事司法の機能を妨げたという結果の発生を要せず、その可能性が在れば足り、いわゆる危険犯であるとするのが判例・通説である。
    ④ 因果関係
    ⑤ 故意
    ⑥ 罪数:同一人を蔵匿し、かつ隠避したときは、本罪の包括一罪であり、同一事件についての共犯者数名を一個の行為で蔵匿・隠避させたときは、本罪の観念的競合となる。
    「罪を犯した者」の意義
    (論点)
    甲は、恐喝被疑事件によって指名手配中の乙を匿った。乙はその後、逮捕・起訴されたが無罪であるとの判決を受けた。甲に犯人蔵匿罪は成立するか。「罪を犯した者」が真犯人を指すのであれば甲に犯人蔵匿罪は成立しないので問題となる。
    (論証)
    この点、「罪を犯した者」について、真犯人をいうと解する説がある。しかし、我が刑事訴訟法は被疑者の取調べを許し(刑訴198)、被疑者の身柄確保とこれに対する詳細な取調べが刑事司法の重要な柱となっている現状がある。
    被疑者の蔵匿・隠避は捜査を妨害し、ついには真犯人かどうかさえも不明にさせるおそれがあることは否定できない。
    それゆえ「罪を犯した者」については、犯罪の嫌疑を受けて捜査または訴追されている壱をいうと解すべきである。
    これに対しては、実質的にも、無実であればいかに嫌疑があろうともそれを蔵匿した行為による司法作用の侵害はさほど大きくなく、司法作用の過保護であるとの批判がある。
    しかし、確かに、結果的にみて無罪が確定した者の蔵匿行為の当罰性は低いが、それは量刑上の理由にすぎず、行為時においては嫌疑が濃厚で捜査の対象とすべき者の取調べの機会を奪う行為は、処罰に値するだけの司法作用の侵害があるといわざるを得ない。したがって、甲には犯人蔵匿罪が成立する。
    二 「蔵匿」「隠避」の意義
    「蔵匿」とは、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を供給することをいう。
    「隠避」とは、蔵匿以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいう。「隠避」の具体例として、まず有形的方法による場合、すなわち変装・身代わり犯人を立てることなどがある。
    (論点)
    一般に、本犯が逮捕されていない場合に犯人の身代わりとなって自己が犯人である旨申し立てる行為は「隠避」にあたるとされる。では、犯人がすでに身柄拘束されている場合にも、この理は妥当するのであろうか。犯人がすでに身柄を拘束されている場合は、刑事司法作用を害するとはいえないようにも思えることから問題となる。
    (論証)
    この点、犯人蔵匿罪の主眼は捜査機関による犯人の発見・逮捕・身柄の拘束の妨害にあるとして、すでに逮捕・勾留されている者は本罪の客体から除外すべきであるとの説がある。
    しかし、身代わり犯人を立てることによって本人が釈放されるなど、その身柄拘束状態に変化をもたらす可静性は否定できない。
    また、そもそも103条は司法に関する国家作用を妨害する重要な行為を処罰する趣旨であると解すべきで、単に身柄の確保に限定した司法作用の保護のみを目的としたものと限定的に解釈すべき実質的根拠はない。
    そして、「真犯人が釈放されなかったから国家司法作用の侵害がなかった」というのは、結果概念を狭く解し過ぎるも

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    ~犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪~
    【保護法益】
    国の刑事司法作用の円滑な運用である。ただし、証人威迫罪では、刑事被告事件の証人、参考人またはその親族らの私生活の平穏も保護法益である。
    <犯人蔵匿罪>
    ★ 要件
    ① 客体:「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者」である。
    ② 行為:「蔵匿し、又は隠避させ」ることである。
    ③ 結果:本罪の成立には、現実に刑事司法の機能を妨げたという結果の発生を要せず、その可能性が在れば足り、いわゆる危険犯であるとするのが判例・通説である。
    ④ 因果関係
    ⑤ 故意
    ⑥ 罪数:同一人を蔵匿し、かつ隠避したときは、本罪の包括一罪であり、同一事件についての共犯者数名を一個の行為で蔵匿・隠避させたときは、本罪の観念的競合となる。
    「罪を犯した者」の意義
    (論点)
    甲は、恐喝被疑事件によって指名手配中の乙を匿った。乙はその後、逮捕・起訴されたが無罪であるとの判決を受けた。甲に犯人蔵匿罪は成立するか。「罪を犯した者」が真犯人を指すのであれば甲に犯人蔵匿罪は成立しないので問題となる。
    (論証)
    この点、「罪を犯した者」について、真犯人をいうと解する説がある。...

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