近年、日本的経営に対する旗色が悪い。マスコミの報道を見ていると、日本的な経営は破綻したかのような印象すら受けてしまう。企業をめぐるさまざまな不祥事、金融危機と経営破綻、バブル時代の放漫な経営、官と民の癒着など、首を傾げたくなるような問題が次々に起こっている。これらの問題は、日本的経営のなせるところであるという論調が強まっている。それでは、具体的に日本的経営の特徴とは何なのであろうか考えたい。
まず経営制度とは、企業とさまざまな取引相手との取引を制御するルール、取り決めであり、それは主に次の三つの側面に分けることができる。
第一は、労働を提供する人びととの雇用関係にかんする取り決めである。この制度を雇用制度と呼ぶことができる。日本的経営の特徴として、俗に三種の神器といわれてきた終身雇用、年功賃金、企業別組合の三つがあげられることが多いが、これらは雇用制度にかかわる特徴である。
第二の経営制度は、企業のガバナンス(統治)にかかわる制度である。企業は価値を創造し、それをさまざまな人びとに分配する社会制度である。この社会制度では、統一的な意思をもとに経営が行われなければならない。また、その価値をだれにどのように分配するかを誰かが決めなければならない。競争社会にはリスクが必然であるとすれば、だれが損失を負担するかを決めなければならない。実際に経営判断を行うのは、経営者である。この経営者を誰がどのように決めるのか、この経営者が真剣に仕事に取り組むように牽制を加える制度がガバナンスの制度である。株式会社制度の下では、企業は株主のものであり、企業の最終的な決定はすべて株主の決議機関である株主総会で行われるはずであるが、日本の多くの企業はその原則から慣行的にはずれている。日本の企業とくに大企業では、企業同士がお互いの株を持ち合っている比率が非常に高い。旧財閥系の企業グループの内部では、企業間の株式のもち合いが行われている。こうした株式の持ち合いは、安定株主をつくり乗っ取りを防ぐという目的で行われている。それによって、株主の発言力が実質的に制限されているのである。
近年、日本的経営に対する旗色が悪い。マスコミの報道を見ていると、日本的な経営は破綻したかのような印象すら受けてしまう。企業をめぐるさまざまな不祥事、金融危機と経営破綻、バブル時代の放漫な経営、官と民の癒着など、首を傾げたくなるような問題が次々に起こっている。これらの問題は、日本的経営のなせるところであるという論調が強まっている。それでは、具体的に日本的経営の特徴とは何なのであろうか考えたい。 まず経営制度とは、企業とさまざまな取引相手との取引を制御するルール、取り決めであり、それは主に次の三つの側面に分けることができる。 第一は、労働を提供する人びととの雇用関係にかんする取り決めである。この制度を雇用制度と呼ぶことができる。日本的経営の特徴として、俗に三種の神器といわれてきた終身雇用、年功賃金、企業別組合の三つがあげられることが多いが、これらは雇用制度にかかわる特徴である。 第二の経営制度は、企業のガバナンス(統治)にかかわる制度である。企業は価値を創造し、それをさまざまな人びとに分配する社会制度である。この社会制度では、統一的な意思をもとに経営が行われなければならない。また、...