著者は第一章において、民主国家同士が戦争をするのは稀であり、それらの平和はその数とともに普及してきていると主張している。また「国家間の戦争」を?戦死者が1000人を超える大規模で制度的に組織された暴力?主権「国家」の間の争い、とし、「民主制」を?市民の大部分が選挙権を持つこと?競争的選挙で選出された政府?選挙に基づく立法府に対して責任を負うことと定義している。そして1815年以後、民主国家の間の戦争を明白には存在しないと主張している。
第二章では民主国家間の平和を説明する理論的仮説を打ち立てている。民主国家間の平和の原因は、民主制そのものの性質に根ざしているか、現代世界の中で民主制という現象と相関関係にあるかのいずれかであるとしている。民主国家間の平和の理論的説明には規範的モデルと政治構造的モデルの二つの理論を提示している。
第一の民主的な「規範・文化モデル」は、次のようなものである。民主的な国民は自分たちを自立的で自治的で共存の規則を持った国民であると考えており、他国民も同様の性質を持ち、その結果利己的なエリートの攻撃的な対外政策を簡単に支持することはないと見做した場合、彼らの自治権も尊重する、というものである。民主制の基礎的な規範は、「多数者支配と少数者の権利の両方を一定の釣り合いで保障する民主的な政治過程を通じて、紛争は武力なしで解決することができる」というものであるが、民主的な政治過程に参加するものはすべてこの規範を共有するはずで、それが民主国家間の暴力行使を制約する。
国際政治理論レポート―ブルース・ラセット著『パクス・デモクラティア』から分析するアメリカのイラク攻撃決定―
ブルース・ラセット著「パクス・デモクラティア」 要約
著者は第一章において、民主国家同士が戦争をするのは稀であり、それらの平和はその数とともに普及してきていると主張している。また「国家間の戦争」を①戦死者が1000人を超える大規模で制度的に組織された暴力②主権「国家」の間の争い、とし、「民主制」を①市民の大部分が選挙権を持つこと②競争的選挙で選出された政府③選挙に基づく立法府に対して責任を負うことと定義している。そして1815年以後、民主国家の間の戦争を明白には存在しないと主張している。
第二章では民主国家間の平和を説明する理論的仮説を打ち立てている。民主国家間の平和の原因は、民主制そのものの性質に根ざしているか、現代世界の中で民主制という現象と相関関係にあるかのいずれかであるとしている。民主国家間の平和の理論的説明には規範的モデルと政治構造的モデルの二つの理論を提示している。
第一の民主的な「規範・文...