1.安全保障三類型
2.憲法制定時の状況
3.内冷戦時の議論の特殊性
安全保障三類型
安全保障には大きく分けると3つに分類される。①個別的安全保障、自分の国は自分で守るという最もシンプルな形。②対抗的安全保障、他国と同盟を結んで対立する国を仮想敵国とし、それに対しての安全保障をする。例えばNATOとワルシャワ条約機構との関係である。対抗しているがゆえに不信感が生まれやすく、軍拡競争になりやすい。③集団的安全保障、全ての国が加入する国際機構を形成し、加盟国同士で武力の不行使を約束する。安全の侵害に対して全ての国が制裁を加える。国際連合がその最たる例である。しかし、わが国では武力による制裁が憲法の制約上できないという問題がある。それでは、どのようにして、集団的自衛権を行使できなくなってしまったのだろうか。
憲法制定時の状況
占領軍による憲法制定が進められており、これに口出しすることができず、天皇制の廃止を避けることに重点がおかれていたため、9条の議論については積極的に行われていなかった。しかし、そのような状況においても帝国議会においては後の議論よりはるかに自由な意見が出ている。例えば、後の護憲の中心政党の社会党や共産党議員ですら自衛権の重要性を認識した発言を...