近年の日中関係において、歴史問題から現実的な諸問題にいたるまで摩擦が絶えず、両国で行われた世論調査でも、相手国に対する不満や反発がよく現れ、「親近感」を示すパーセンテージは低下している。
このような現状は確かに憂慮すべきだ。ただ、われわれはため息に浸るべきではなく、まずその根本的要因の所在を突き止める必要がある。
日中両国は互いに脅威になっているか、あるいは今後相手国の脅威になるか。筆者は否定的な見解である。中国の軍事力はまだ発展途上で、抑止力としての核兵器を除けば、海軍と空軍などの通常兵力は韓国、台湾に比べても質的に劣っている。また、中国は経済が発展すればするほど環境破壊や食料供給、資源不足、高齢化などの問題に悩まされるし、政治の民主化も避けて通れない。日本の自衛隊は技術レベルでは周辺国を圧倒するが、対外侵略?拡張ができる規模ではなく、憲法や日米安保条約など制約要因も多い。何よりも、新しい覇権国家の出現を21世紀の世界は受け入れないだろう。
根本的な利害衝突がない以上、ほかの諸問題はなおさら克服できるはずだ。それにもかかわらず摩擦と対立が多いのは、主に心理的な障害に由来していると思われる。
21世紀の日中関係:ともに大国の責任を自覚しよう
近年の日中関係において、歴史問題から現実的な諸問題にいたるまで摩擦が絶えず、両国で行われた世論調査でも、相手国に対する不満や反発がよく現れ、「親近感」を示すパーセンテージは低下している。 このような現状は確かに憂慮すべきだ。ただ、われわれはため息に浸るべきではなく、まずその根本的要因の所在を突き止める必要がある。 日中両国は互いに脅威になっているか、あるいは今後相手国の脅威になるか。筆者は否定的な見解である。中国の軍事力はまだ発展途上で、抑止力としての核兵器を除けば、海軍と空軍などの通常兵力は韓国、台湾に比べても質的に劣っている。また、中国は経済が発展すればするほど環境破壊や食料供給、資源不足、高齢化などの問題に悩まされるし、政治の民主化も避けて通れない。日本の自衛隊は技術レベルでは周辺国を圧倒するが、対外侵略?拡張ができる規模ではなく、憲法や日米安保条約など制約要因も多い。何よりも、新しい覇権国家の出現を21世紀の世界は受け入れないだろう。 根本的な利害衝突がない以上、ほかの諸問題はなおさら克服できるはずだ。それにもかかわらず摩擦と対...