政治学
「保守政党のビジョン」論評
1 石田博英の視点 ― 要約的に ―
石田博英は保守党の漸進的な近代化をおこなうために、その具体的目標として、派閥解消、政治資金の公明化、選挙制度の検討の三つをあげた。そしてその方策を論文の後半で、組織問題を含めて提示している。
しかし、この論文で注目すべき点は、
政治学
「保守政党のビジョン」論評
1 石田博英の視点 ― 要約的に ―
石田博英は保守党の漸進的な近代化をおこなうために、その具体的目標として、派閥解消、政治資金の公明化、選挙制度の検討の三つをあげた。そしてその方策を論文の後半で、組織問題を含めて提示している。
しかし、この論文で注目すべき点は、石田博英が、この「保守政党のビジョン」というテーマにもあるとおり、保守党の思想的基盤の明確化、すなわち保守政党の考える「近代化」とはなにか、また、保守政党の目指す「進歩」とはなにか?という自由主義・民主主義が有効に機能するための尺度をつくり、保守のイメージを確定することの必要性を説いたことにある。
そこで、石田博英は日本の現実を「近代化」という視点から、人口構造、産業構造、教育をあげた。これを追ってみる。まずは、高齢化社会化という人口構造の近代化。次に、第一次産業就業者層の縮小をあげたうえで、自民党の支持基盤が農民層であることと併せて、保守基盤の力点の限定性を危惧している。一方で、全就業者中に占める雇用者(エンプロイー)の割合の増加をひいて、労働組合員の増加を指摘した。これは、社会党の得票...