日本社会史
農村における「上から」の統制と日本の近代化
1 第1次世界大戦期から1920年代の農業
顕在化した問題の具体的様相とその歴史的変化
この時期には商業的農業が大きく発展した。商業的農業とは果実や畜産物をはじめとした食料用農産物である。
日本社会史
農村における「上から」の統制と日本の近代化
1 第1次世界大戦期から1920年代の農業
顕在化した問題の具体的様相とその歴史的変化
この時期には商業的農業が大きく発展した。商業的農業とは果実や畜産物をはじめとした食料用農産物である。この発展の背景には、都市人口の急増、都市における食生活の洋風化や嗜好の変化があった。これらの生活変化には、日本の資本主義自体の変化がその影響を与えた。その潮流をおってみると、まず第一次世界大戦によって交戦国に対する大量の軍需製品輸出などによって日本経済はいわゆる大戦景気をむかえた。同時に、これは重化学工業を発展させ、その労働市場を大きく変化させた。いいかえれば、農村部から都市部へ人口が流れて労働力が集中したということである。ここに工場労働者という階級変化が生じるとともに、組織的な労働運動が展開されるようになった。これらはつまり、工場労働者は増大したが、日本の農村社会に比重が大きいこともまだ無視できない二重な構造があったということができる。
また非農業人口の問題はコメの需要を拡大させ、一方では米穀生産の停滞が生じていた。ここにいわゆる植民地米の輸入...