計器の仕組みと取り扱い
1、目的
電気計器を取り扱うための知識は、実験における様々な測定を間違うことなく、円滑に進める上で絶対不可欠である。様々な性質の物質量に対して適切な測定を行うには、それに相応した計測器を正しく使わなければならない。今回は、直流計器の負荷測定、交流計器における波形による誤差の測定の2つを行い、これらの計器に関する知識、特性、使用方法を十分に理解する。
2、原理
2.1 アナログ指示計器の特徴
アナログ計器は、いろいろな観点(計測対象など)から特徴付けられるが、計器の精度・動作原理などによっても特徴付けられる。
(ⅰ)精度階級 … 0.2級、0.5級、1.0級、1.5級、2.5級、などの階級に分けられる。0.2級の計器の場合、最大許容誤差はその計器の基底値の0.2%である。電圧計、電力計などの計器の基底値は、一般的に使用しているレンジの上限値である。また、最大目盛りに近い方で使用したほうが誤差は少ない。
(ⅱ)動作原理 … 指示計器は動作原理により可動コイル形、可動鉄片形、整流形等があり、計器に表示してある記号から判断する。
2.2 直流計器
2.2.1 可動コイル形計器の原理
可動コイル形は、永久磁石の作る磁界中のコイルに電流を流してトルクを発生させている。指針が追従できないような交流分に対しては動作せず、繰り返し波形の場合は平均値を指示する。短時間の過負荷には比較的強く、また消費電力、大きさ、価格などの点で優れている。
2.2.2 計器の負荷効果
可動コイル形直流電流計で電流測定を行うとすると、電流計は測定する電流自体から駆動力を得るため、回路に直列に挿入して使用する。この場合、コイル、分流器などの合成抵抗が計器の内部抵抗として挿入されるため、電流計端子間に電圧降下がおこる。このため測定結果には誤差が生じるので、これを補正する必要がある。また、直流電圧計を用いる場合も同様である。電圧計は通常測定すべき2点間に並列に接続して使用するが、電圧計の内部抵抗による分流のため、誤差が発生する。
例えば、電流計と電圧計を用いて、オームの法則から未知の抵抗Rを求めるとすると、このとき2種類の測定回路が考えられる(図1参照)。内部抵抗をそれぞれra、rvとしたとき、ra≪R≪rvが成り立つならば、ほとんど誤差は生じない。しかし、どちらか一方のみが成り立つ場合は、回路によって誤差が異なるため、誤差の少ない接続法を選択すべきである。一般にR≧(rarv)1/2であれば電圧計が正確な値を示す接続法(接続法(a))、R≦(rarv)1/2であれば電流計が正確な値を示す接続法(接続法(b))
を選択する。また、ra、rvが既知の場合、その値から補正を行うことでより正確な値が得られる。
… (接続法(a)の場合)
… (接続法(b)の場合)
2.3 交流計器
2.3.1 交流系の種類と動作原理
一般に使用されているものは可動鉄片形、整流形、誘導形などである。可動鉄片形は、コイルに流した電流による磁界によって、鉄片を磁化し力を生じさせ、この力を駆動力としている。駆動トルクが電流の2乗に比例するため、指示が実行値となり、交流の測定には広く利用されている。可動コイル形と比較して、過負荷耐量は同様に大きいが感度は小さく、周波数が高くなると鉄片中のうず電流による損失が大きくなるため、補正しても2000Hz程度までしか使用できない。
整流形は、整流器と可動コイル形を組み合わせた構造で、高感度の
計器の仕組みと取り扱い
1、目的
電気計器を取り扱うための知識は、実験における様々な測定を間違うことなく、円滑に進める上で絶対不可欠である。様々な性質の物質量に対して適切な測定を行うには、それに相応した計測器を正しく使わなければならない。今回は、直流計器の負荷測定、交流計器における波形による誤差の測定の2つを行い、これらの計器に関する知識、特性、使用方法を十分に理解する。
2、原理
2.1 アナログ指示計器の特徴
アナログ計器は、いろいろな観点(計測対象など)から特徴付けられるが、計器の精度・動作原理などによっても特徴付けられる。
(ⅰ)精度階級 … 0.2級、0.5級、1.0級、1.5級、2.5級、などの階級に分けられる。0.2級の計器の場合、最大許容誤差はその計器の基底値の0.2%である。電圧計、電力計などの計器の基底値は、一般的に使用しているレンジの上限値である。また、最大目盛りに近い方で使用したほうが誤差は少ない。
(ⅱ)動作原理 … 指示計器は動作原理により可動コイル形、可動鉄片形、整流形等があり、計器に表示してある記号から判断する。
2.2 ...