『源氏物語』は全五十四帖からなり、全体が三部構成となっている。第一部は「桐壺」から「藤裏葉」までの三十三帖、第二部は
「若菜上」から「幻」までの八帖、第三部は「橋姫」から「夢浮橋」までの十帖である。第三部は宇治が話の舞台となっていることから宇治十帖と、また第三部のうち「匂宮」
「紅梅」「竹河」は竹河三帖、あるいは匂宮三帖と呼ばれる。この匂宮三帖(竹河三帖)は第二部と第三部をつなぐ構成となっている。
第一部は光源氏の生誕から三十九歳までの記述である。後宮においては身分の低い桐壺の更衣を母に持った光源氏は、高麗の人相見の「天皇になる相だが、そうなれば国が乱れるかもしれない。朝廷を補佐する人と見ると、それもまた違う」との予言により、桐壺帝の思慮により臣籍降下させられる。その後、葵の上との結婚、須磨・明石での侘び生活、葵の上亡き後、紫の上の補佐を経て出世街道を歩み始めるといった波乱生活を過ごしていく。
また義母・藤壺との道ならぬ恋愛に苦しんだり、軒端荻・夕顔・末摘花らと交渉を持ったりと、苦悩の中にも積極奔放な恋愛を中心に描写されているのが特徴とも言えよう。
第一部はまたその巻々を...