見せ金というのは株式払込の仮装の一態様を指す実際界の用語であるが、一般的には、発起人が取扱銀行等以外の第三者から借入をなし、これをもって株式の払込に充て、会社成立後できるだけ短期間に払込金を払込取扱銀行等から引き出してこれを借入先に返済するという方法で株式払込を仮装することを指すと考えられている。
見せ金による株式払込の効力については、これを有効とする立場と無効とする立場とが対立している。下級審判例の多くは無効説を採ってきている。
有効説は、見せ金による払込の場合にも、金員の移動による現実の払込が存するのであって、たとえそれが実際上は払込の仮装手段として利用されているとしても、それは当該払込をなす発起人の主観的意図の問題にすぎず、会社の関知しないところであり、払込をなす発起人に真実株式払込をする意思がなかったとしても、株式払込の形がとられた限り、株式会社の設立という集団的手続現象の一環をなす株式払込の問題として、かかる心裡留保的問題を理由に払込の効力を否定すべきでなく、取扱銀行等において払い込まれた金員が見せ金であることを認識していたとしても、法律的には会社に対する株式の払込であることに変りがない以上、この事情をいわば善意の第三者たる地位にある成立した会社には対抗しえないと解すべしとしている。
「見せ金」に関する考察
見せ金というのは株式払込の仮装の一態様を指す実際界の用語であるが、一般的には、発起人が取扱銀行等以外の第三者から借入をなし、これをもって株式の払込に充て、会社成立後できるだけ短期間に払込金を払込取扱銀行等から引き出してこれを借入先に返済するという方法で株式払込を仮装することを指すと考えられている。
見せ金による株式払込の効力については、これを有効とする立場と無効とする立場とが対立している。下級審判例の多くは無効説を採ってきている。
有効説は、見せ金による払込の場合にも、金員の移動による現実の払込が存するのであって、たとえそれが実際上は払込の仮装手段として利用されているとしても、それは当該払込をなす発起人の主観的意図の問題にすぎず、会社の関知しないところであり、払込をなす発起人に真実株式払込をする意思がなかったとしても、株式払込の形がとられた限り、株式会社の設立という集団的手続現象の一環をなす株式払込の問題として、かかる心裡留保的問題を理由に払込の効力を否定すべきでなく、取扱銀行等において払い込まれた金員が見せ金であることを認識していたとし...