地蔵盆~その成立と道祖神~
Leprechaun
関西地方では、8月の23、24日に地蔵を祭る「地蔵盆」という祭礼がある。
地蔵盆の主役は子供であり、地蔵の前で子供たちが遊んだり、景品をもらったり、あるいはねだったりして遊ぶ。
伝統的祭礼というと最近では廃れているケースも多いのだが、地蔵盆はお菓子をねだって歩くのがハロウィーンと似ているせいか、若い世代の間でも人気が出ている。
地蔵盆の面白い点は、関西以外では余り見られないという地理的偏在性にある。実際、滋賀県も東部まで行くと、地蔵盆を行わなくなることが分かっている。これはこの祭事が比較的近い過去に、関西で発生したことを示唆している。確かに文献を辿ってみると、地蔵盆は室町末期から江戸初期にかけて成立したことがうかがえる。
もっとも当時は地蔵盆と呼ばれず、「地蔵祭り」と呼称され、盆とは切り離された行事だったようだ。また祭りの内容も子供が中心というより、大人の歓楽、という意味合いが強かったらしい。
この地蔵祭りのルーツは、「地蔵信仰」にあるとされる。
平安後期以後、浄土信仰が普及するにつれ、地獄を支配する閻魔大王への関心が高まったが、その閻...