「ドイツの港湾都市について」
海上交通は中世から現代にいたるまで、政治、経済、文化において重要な意味をもってきた。またその接点となる港湾は、海上交通の中心であり、その拠点となるため各都市において極めて重要であった。この港湾というものに着目して、北ドイツの都市の成立、都市間同士の連携、また現代における変容をみていくこととする。
まず第1に挙げられなくてはいけないのは、ハンザ同盟である。ドイツ語では「Hanse」という。元々、これは遍歴団体を示す言葉であり、商業においては商人仲間の団体を意味していた。ゲルマン語の「群」という意味のハンザに由来し、はじめは戦闘部隊の群のことだったのが次第に商人にも用いられるようになった。13世紀なかば、ハンブルクとリューベックが基礎となり、ハンザ同盟が成立した。ここではリューベックが盟主となり主権を握った。リューベックを女王に、ロシュトックが娘、シュトラールズンドが孫娘とも呼ばれている。ドイツ商人の商業活動の広がりに応じてハンザ同盟の商館の置かれる範囲は拡大していった。イングランドのロンドンからルーシ(ロシア)のノヴゴロドまで広がった。同盟はロンドンとノヴゴ...