「『インフォームド・コンセント』について患者の権利からの視点から記述せよ。」
医の倫理は、医のパターナリズムからインフォームド・コンセントの時代になってきた。医のパターリズムとは、医療において専門家である医師に任せることが患者の利益であり、医師は任せられた大任を果たすため精神誠意に尽くすというものである。この考えは、世界的に受け入れられてきたといえる。
第二次世界大戦後、ニュールンベルグ裁判を契機に、ヘルシンキ宣言、患者の権利章典、生命倫理に関するアメリカ大統領委員会報告を経て、欧米社会の医療では、説明による同意、真実を告げる、患者の自己決定権のシステムが確立され、医の倫理として定着しつつある。わが国においても、患者の人権主張が高まってきたこと、医療技術の発展により複数の治療法があるようになってきたこと、患者の理解・納得が治療上必要で効果的であること、医療紛争のうえに必要であること、患者の医学上の知識向上がみられてきたことなどの理由から、インフォームド・コンセントが強調され、検討されるようになってきた。
日本医師会生命倫理懇話会(1989年)では、インフォームド・コンセントを「医...