平成7年度第1問
問題
処分権主義は、訴えの提起の場面において、どのように現れるか。
解答
1(1) 処分権主義とは、①訴えの提起、②審判対象の特定、③訴訟の終了について当事者の自治に委ねる建前をいう。現行法は、①及び②の面につき246条の規定を、③の面につき261条、266条、267条等の規定をおいて、処分権主義を採用している。
かかる処分権主義は、私的自治の訴訟法的反映として認められているものである。すなわち、実体法上は、私人に自己の権利の自由な処分を認める私的自治の原則が妥当しているが、民事訴訟は、私人間の権利義務に関する紛争を解決する手続きであるので、かかる私的自治の原則を訴訟上も尊重しているのである。
2 それでは、処分権主義は、訴えの提起の場面においてどのように現れるのであろうか。
(1)ア まず、訴えを定期することによって紛争を解決するかどうかは、当事者の自由である。すなわち、裁判所が自ら私人間の紛争を探してきて、これを審理し解決を与えるということはできない(不告不理の原則)。
イ また、かかる観点から、当事者間で訴えを提起しない旨の不起訴の合意も有効であり、当...