行政行為という概念は、もともと、私人の法律関係を規律する行為形式が契約であるのに対応させて、行政と国民との間の法律関係を規律する行為形式として構想されたものである。行政の行為の中には、公益を実現するため相手方の反対を無視してでも実施でき、その正当性がとりあえず確保されなければならないものがある。公共の安全性を確保するため私人の自由な経済活動に一定の制約を課す、いわゆる規制行政はその典型例である。この種の行政の行為を正当化しつつ、法律による規律を加えようとして構想されたのが、行政行為という概念である。より詳細な説明は以下で行うことにするが、これらは、事実行為と法的行為(行政処分)とに大別することができ、事実行為は、特に新たな法的効果をもたらさず、事実上行われて行政の目的を達するというものである。もっとも、そこで違法行政によって個人に損害を与えた場合には、行政法的に賠償責任が問われることになる。法的行為としては、例えば国や自治体と行政事務の民間委託や用地の任意取得その他で契約を取り結ぶことがある。こうした行為が新たな法的行為を作り出すことを指す。例えば、社会福祉では、措置がそれにあたり、...