【愛媛玉串料違憲判決について】
1.事実の概要
愛媛県は、昭和56年から昭和61年にかけて、宗教法人靖国神社の行う宗教上の祭祀である例大祭、みたま祭に際しそれぞれ玉串料(9回)、献灯料(4回)の名目で計76,000円の公金を、そして宗教法人護国神社の行う慰霊大祭に際し供物料の名目で9回にわたり計90,000円の公金を支出した。これらが地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の住民訴訟の対象になり、憲法20条3項、同89条等に違反する違法な支出であるかが争われた。
2. 判決の概要と検討
最高裁大法廷は、15人中10人の多数意見により、結論において第1審判決を是認し、原判決中これと異なる部分を破棄した。
(一) 第1審松山地裁判決は、津地鎮祭合憲判決理由中で初めて用いられた、いわゆる目的効果基準をそのまま採用しつつも本件事案について厳格なあてはめを行い、違憲の判断を下した。
(二) これに対して控訴審高松高裁判決は、同様に目的効果基準を判断枠組に用いながらも、本件玉串料等の支出は過大でないかぎり社会的儀礼であると認識し、その目的は遺族援護行政の一環であり、一般人に特定宗教の援助、助長について特別の関心を呼び起こすものではないから政教分離規定に反しないと、宗教的活動の内容や社会通念についてかなり緩やかな判断をした上で、全く逆の結論を下した。
憲法
【愛媛玉串料違憲判決について】
事実の概要
愛媛県は、昭和56年から昭和61年にかけて、宗教法人靖国神社の行う宗教上の祭祀である例大祭、みたま祭に際しそれぞれ玉串料(9回)、献灯料(4回)の名目で計76,000円の公金を、そして宗教法人護国神社の行う慰霊大祭に際し供物料の名目で9回にわたり計90,000円の公金を支出した。これらが地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の住民訴訟の対象になり、憲法20条3項、同89条等に違反する違法な支出であるかが争われた。
2. 判決の概要と検討
最高裁大法廷は、15人中10人の多数意見により、結論において第1審判決を是認し、原判決中これと異なる部分を破棄した。
(一) 第1審松山地裁判決は、津地鎮祭合憲判決理由中で初めて用いられた、いわゆる目的効果基準をそのまま採用しつつも本件事案について厳格なあてはめを行い、違憲の判断を下した。
(二) これに対して控訴審高松高裁判決は、同様に目的効果基準を判断枠組に用いながらも、本件玉串料等の支出は過大でないかぎり社会的儀礼であると認識し、その目的は遺族援護行政の一環であり、一般人に特定宗教...