今日の科学技術の発展は目覚しいものであり、それによって人々の生活は豊かに便利になった。しかし人間は満足することを知らない。こうして自然にはできるはずのないことまでもができるようになった。ある種の生殖医療はその好例である。つまり、本来子どもができない人の子どもが生まれることになった。このこと自体は不妊に悩む夫婦の悩みを解決するものとして有効であろう。だが、とどまることのない欲望によってよりよい子どもを求めたり、独身者や同性愛者が子どもをほしがったりするという問題が生じた。今挙げたことは技術的には可能なことであろうが、できることはすべて行ってよいことなのだろうか。そこで生殖医療の問題点―特に生まれてくる子どもの商品化の問題―について考えてみることにする。
生殖医療における子どもの商品化について
今日の科学技術の発展は目覚しいものであり、それによって人々の生活は豊かに便利になった。しかし人間は満足することを知らない。こうして自然にはできるはずのないことまでもができるようになった。ある種の生殖医療はその好例である。つまり、本来子どもができない人の子どもが生まれることになった。このこと自体は不妊に悩む夫婦の悩みを解決するものとして有効であろう。だが、とどまることのない欲望によってよりよい子どもを求めたり、独身者や同性愛者が子どもをほしがったりするという問題が生じた。今挙げたことは技術的には可能なことであろうが、できることはすべて行ってよいことな...