平成15年4月1日現在、全国で2、531の市町村が合併協議会の設置や研究会の開催などで検討を始めている。今回の大合併では住民投票などにより住民の意思表示の権限が与えられた地域もあるため、過去の大合併の際とは異なり、何らかの新しい展開が期待出来る。このレポートでは、過去における大合併の際に生じたメリット・デメリットを検証し、今後の参考になるような指標を得ることを目的とする。
研究の方法は、既往の論文から市町村合併のメリットと問題点を整理し、今回との相違点を探るとともに、今回の合併の流れに至るまでの過程や必要性を調べる。それを踏まえて今年誕生した「さいたま市」をケーススタディの対象として、そのメリット・デメリットを考察する。
合併のメリット・デメリットは以下のものが考えられる。
(1) 地方交付税交付金は国が必要と認める歳出と歳入の差額がマイナスになる自治体に対して、その差額を補うために配分される交付金であり、小規模自治体ほど依存度を高める傾向がある。とりわけ、人口10万人未満の市町村に対する地方交付税の配分加算措置である「段階補正」については、1998年度からその見直しが開始され、これによる交付金の縮減は、現在の小規模自治体や合併後に誕生した小規模自治体にとって深刻な影響を及ぼすこととなった。
自治体合併の考察
平成15年4月1日現在、全国で2、531の市町村が合併協議会の設置や研究会の開催などで検討を始めている。今回の大合併では住民投票などにより住民の意思表示の権限が与えられた地域もあるため、過去の大合併の際とは異なり、何らかの新しい展開が期待出来る。このレポートでは、過去における大合併の際に生じたメリット・デメリットを検証し、今後の参考になるような指標を得ることを目的とする。
研究の方法は、既往の論文から市町村合併のメリットと問題点を整理し、今回との相違点を探るとともに、今回の合併の流れに至るまでの過程や必要性を調べる。それを踏まえて今年誕生した「さいたま市」をケーススタディの対象として、そのメリット・デメリットを考察する。
合併のメリット・デメリットは以下のものが考えられる。
地方交付税交付金は国が必要と認める歳出と歳入の差額がマイナスになる自治体に対して、その差額を補うために配分される交付金であり、小規模自治体ほど依存度を高める傾向がある。とりわけ、人口10万人未満の市町村に対する地方交付税の配分加算措置である「段階補正」については、1998年度からその見直しが開始...