異文化理解の重要性――日本の事例から

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    1.はじめに
     グローバル化の進展は、人々に様々な文化と接触する機会をもたらすのと同時に異なる文化を意識させてきた。また、こうした意識はしばしば人々を異文化への理解ではなく異文化に対する反発の方向に導くことがあり、そうした反発・対立は紛争やテロといった形で表面化されることもある。例えば、2008年現在も継続中のコソボ紛争やダルフール紛争は、複数の民族・宗教・文化が存在する地域で起きている紛争だ。
    もちろん国家や地域は、文化的要因だけでなく政治、経済、文化など様々な要因から成り立っており、国家・地域間の関係もそうした要因を反映したものになっている。しかし今回は、そうした様々な要因の中から文化に着目したい。そこで、日本をめぐる事例を2つ取り上げて、国家・地域間関係における異文化理解の重要性について考察した。
    2.日帝風水謀略説
    まず、異文化理解をめぐる日本と韓国の事例として、「日帝風水謀略説」(以下、日帝説とする)を紹介したい。日帝断脈説と呼ばれることもあるが、これは名前の通り風水思想に基づく説である。この説は、金泳三政権下(1993-98年)で行われた「歴史建て直し事業」の一環として、戦...

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