「救急医療から見た脳死と法医学から見た脳死

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    資料紹介

    法医学から見た脳死とは?「全脳機能の不可逆的停止」と「脳幹機能の不可逆的停止」とがあり、日本では「全脳機能の不可逆的停止」を採用している。また、多くの国が「全脳機能の不可逆的停止」を採用している。前述に述べたように脳死の状態が維持されるのは、人工呼吸器を使用している場合のみである。例えば首を吊ると脳が先に機能停止になった後で心臓が止まることから、脳死であるといういい方をする人もいる。しかし、それは特殊な例であり、臨床的に脳死が生じるのは、人工呼吸器を使用する場合だけである。
     脳死を「全脳機能の不可逆的停止」というが、脳死の場合「機能の停止」とは、血行の停止による脳細胞の不可逆的な死を意味する。全部の脳細胞が死んでいるかどうかは分からないが、多くの細胞は死んでいる。したがって、壊死、あるいは器質死といわれるものを、機能で調べているのである。それに対して、手足などについての機能の停止、あるいは機能の廃絶とは、神経の麻痺や関節の拘縮による運動不能の状態をいい、細胞自身は生きている。したがって、脳死でいう「機能の停止」と、手足などでいう「機能の停止」は、全く異なっている。「手足の機能が停止しても、手足が『死んだ』とはいわないのに、脳の機能が停止すると何故『死んだ』というのか」という疑問も残っている。

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    物質科学「救急医療から見た脳死と法医学から見た脳死」    
    脳死については未だ扱いが難しい。それは脳死が人道的に、そして救急医学、法医学的にと様々な面から捉えなくてはならないからである。皮肉な事だが医学の発展によってでさえ、脳死の概念が変わってくる。そもそも脳死とはどんなモノであるのか?その点について考察していきたい。また、脳死の概念には様々な捉え方があるが、最も身近であると思われる救急医学的、法医学的に捉えて考察している。
    ◇救急医学から見た脳死~脳死の概念~
    救急医学から見た脳死とは?まず挙げられるのは全中枢神経死である。大脳、小脳、脳幹、脊髄まで至る中枢神経系の機能停止。次に全脳死。大脳、小脳、脳幹を含む全脳髄の機能停止。他には脳幹死。脳幹だけの機能停止。これら3つが主である。日本では、脳死を「脳幹を含む全脳髄の不可逆的な機能消失」とする。つまり全脳死の考えをとっている。イギリスなどヨーロッパの一部の国では、脳幹死の概念を受け入れているが、多くの国では、大脳も含めた全脳死の立場をとっている。全脳死、脳幹死、いずれの場合も、人工呼吸器がなければ呼吸による血液の酸素化ができないので...

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