6.考察
今回の実験のVce−Ic特性では、図3よりVceが1[V]までは急激に上昇するが、それ以降は急激に値に変化が現れることはなくグラフは平坦になっていくのが分かる。これは、出力抵抗が大きいことを意味していて、トランジスタの増幅作用はVceが増加してもIcがほとんど変化しない事を表している。
図7のIb−Ic特性では、Ibの値が上がるにつれてIcの値も上がっている。つまりこの二つは比例しているといえる。そしてこれは電流伝達特性と言う。このIcとIbの値から出した電力増幅率βの値を見てみると、とても大きな値になっている。すなわち、インピーダンスは高く、逆に出力側から見たインピーダンスは低いので、変換回路としての働きも持ち、低インピーダンスの負荷にも大きな電力を出力する事が出来ると言う事になる。このことから分かるようにトランジスタには電気信号を増幅する働きがあることが分かる。αが限りなく1に近い値になるのはαとβに次のような関係があるからである。
7.結論
今回の実験を行い、接合トランジスタには電力増幅作用がある事が分かった。よって、入力インピーダンスよりも出力インピーダンスの方が上回るという事である。つまり、接合トランジスタはこの性質を活かし、スピーカーやテレビ等に使われている。
各トランジスタの性質は、エミッタ接地回路は入力インピーダンスが高く、電圧利得が大きくなる。入力信号電流はベース電流Ibとして流入し出力電流はコレクタ電流Icとして取り出す。入力信号Ibはβ倍される。また、出力電圧はIcが大きいので電圧利得が高くなる。つまり、増幅器によく使われる形式ということが分かった。一方ベース接地回路の特徴は入力インピーダンスが低く、電流利得はほぼ1倍であるが、電圧利圧は高い。
以上のことより、接合トランジスタの性質及びどのように活用されているのか理解することが出来た。
実験目的
今回の実験を通して、PN接合の性質と共に接合トランジスタがどのように応用されているかを学ぶ。
実験原理
図1:PNP形のトランジスタ回路
図2:接合トランジスタの動作
ベース接地とエミッタ接地回路の電流増幅率をそれぞれα、βとし
と定義する。及びこの二つの式はαとベータの間に関係があり次のように示す事、が出来る。
このβの式はトランジスタの電流増幅率を表している。
実験方法
実験に使用した器具を以下の表に記す。
表:1 実験使用器具
使用器具名 メーカー 型番 シリアルNo. 直流安定化電源 Metronix 6455A 1123835 乾電池 National FM-5(H) ― 直流電圧計 YEW 2041 00263S 直流電流系 YEW 2013 03.B.35.100 すべり抵抗 YEW 2791 01392V バイポーラトランジスタ実験セット ― ― ―
実験(ⅰ)
エミッタ接地出力特性の測定
NPN型の接合トランジスタを含む回路を図1の様に組み、Ibをパラメータとしすべり抵抗Rb1を操作しVceとIcを測定する。Ibを0[μF]から40[μF]間隔で280[...