まちづくり空間の思想
今や,1都3県に連担して3000万人もの人々が住み働く,世界最大の連担市街地が実質的な東京大都市になる。量質転化であって,東京は以前とは違った質の都市機能を備えることとなる。しばしば都心の過集積に対して通勤交通手段がまひしており,需要にこたえる大都市通勤交通施設の整備の問題性と都心部における道路交通の混雑などが挙げられ,一方,職住遠隔化が指摘されている。当然のこととして都心部に集積している諸機能,諸施設を周辺の副都心地区に分散させ,同時に都心・副都心周辺の住宅地再開発を促進して職住接近を行うという提案につながっていたのである。
都市と交通(図1,図2,図3,図4)
東京の交通整備と都市計画は首都高速道路の建設が大きな比重を占めている。これまでの大都市構造とは,明治初年以来百年かけてつくってきた放射環状の道路,鉄道網に河川水路,首都高速道路網と羽田空港,東京港などからなる体系がこれにあたる。しかも,これらは百年経っても未完であり,全体計画の実現は途上にある。明治20年代にはすでに山手線と汐留,上野から伸びる鉄道網があり,それに震災以降,私鉄,地下鉄が加わってくる。一...