食品は生活の基盤であり、害があってはいけない。食品のリスクを科学的・客観的に判断するために、2003年7月1日、内閣府には食品安全委員会が発足した。
日本の食品行政はこれまで家畜の飼料や肥料などの生産段階を農水省、食肉処理や添加物など製造流通段階を厚労省が担当し、それぞれの安全性の評価とその評価に基づく対策を行うという縦割りだった。言い換えれば、農水省は生産者の保護に、厚労省は業者の取締りに重点を置いていた。
食品安全委員会は、両省から独立して専門的にリスクを評価し、首相を通じて両省などに施策を勧告し、実施状況を監視する。また、食品についてのさまざまな情報を正確、迅速、公平に消費者に提供して意見を聞き、対話を繰り返して理解を得る任務も帯びている。いわゆるリスク・コミュニケーションも担当する。
しかし、およそ百人からなる食品安全委員会の事務局は、実質的に農水省と厚労省の寄り合い所帯であるため、権益争いが持ち込まれて委員会の独立性が維持できなくなるのではないかという懸念がもたれている。このため農水省、厚労省から出向した職員が再び両省に戻ることのないようにする「ノーリターン・ルール」の確立が求められている。欧州安全庁(EFSA)ではインターネットで公募したりして、人事の独立性に充分配慮している。
また、これまでの日本行政は、科学的見地よりは、特に米国などとの貿易摩擦解消という政治的観点が優先されてきたのは否定できない。このため、食品安全委員会に農水族議員の不当な影響が及ばないようにすることも重要である。食品行政についてはまた、消費者より、生産者や流通・販売業者の方を向いてきたことも指摘される。肉骨粉に関してEUやWTOが危険性を指摘した時点で行政が法的規制に踏み切らなかったことも大きな失政である。
5、農あるまちづくりに関し、食の信頼についてあなたの考えを述べよ。
食品は生活の基盤であり、害があってはいけない。食品のリスクを科学的・客観的に判断するために、2003年7月1日、内閣府には食品安全委員会が発足した。
日本の食品行政はこれまで家畜の飼料や肥料などの生産段階を農水省、食肉処理や添加物など製造流通段階を厚労省が担当し、それぞれの安全性の評価とその評価に基づく対策を行うという縦割りだった。言い換えれば、農水省は生産者の保護に、厚労省は業者の取締りに重点を置いていた。
食品安全委員会は、両省から独立して専門的にリスクを評価し、首相を通じて両省などに施策を勧告し、実施状況を監視する。また、食品についてのさまざまな情報を正確、迅速、公平に消費者に提供して意見を聞き、対話を繰り返して理解を得る任務も帯びている。いわゆるリスク・コミュニケーションも担当する。
しかし、およそ百人からなる食品安全委員会の事務局は、実質的に農水省と厚労省の寄り合い所帯であるため、権益争いが持ち込まれて委員会の独立性が維持できなくなるのではないかという懸念がもたれている。このため農水省、厚労省から出向した職員...