台湾ポストコロニアルの身体

閲覧数2,593
ダウンロード数16
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     私は、丸山哲史氏が書いた「台湾、ポストコロニアルの身体」を読んだ。この本では、小説や映画なども通じて、台湾が近現代史において、日本の植民地支配の結果であるともいえる、複数の記憶や複数の言語が台湾社会に書き込まれていく過程を考え、今日の台湾の文化や社会、更にはアイデンティティーがどのように形成されていったかを考えていこうとしており、またそれらを考えることにより、現代の日本と台湾との関係、更には日本とアジアとの関係のあり様を照らしていこうとしている。この本ではまず、授業中にも見た映画「非情城市」について取り上げている。「非情城市」は、台湾が中華民国に復帰した直後、台湾民衆が国民党に叛旗を翻し、その結果多くの台湾人が虐殺された1947年の二・二八事件を初めて正面から取り上げた作品としてよく知られているが、この作品ではまた、現代まで続く1945年以前からの台湾住民である本省人と、それ以降にやってきた台湾住人である外省人との間のエスニック的な対立の起源(内省人と外省人を分けている1945年という区分を成立させた主役は、内省人としては植民地支配者であり、外省人としては抗日戦争の相手であったかつての日本である)にも触れており、また戦後の台湾における、日本語、大陸で使用されている標準中国語、広東語、南洋語、そして台湾語など、さまざまな言語の錯綜しており、通訳しあってなんとかコミュニケーションをとろうとしている様子を描こうとしている。このように戦後台湾では様々な言語が使用されていたが、その後国民党政権は、日本語は台湾から一掃され、またかつての沖縄での日本語教育のように、台湾語を話した生徒の首には「罰札」を掛け「鞭」で打つといった方法をとり、台湾語も抑圧しようとする国語―普及運動がとられた。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    私は、丸山哲史氏が書いた「台湾、ポストコロニアルの身体」を読んだ。この本では、
    小説や映画なども通じて、台湾が近現代史において、日本の植民地支配の結果であるともいえる、複数の記憶や複数の言語が台湾社会に書き込まれていく過程を考え、今日の台湾の文化や社会、更にはアイデンティティーがどのように形成されていったかを考えていこうとしており、またそれらを考えることにより、現代の日本と台湾との関係、更には日本とアジアとの関係のあり様を照らしていこうとしている。この本ではまず、授業中にも見た映画「非情城市」について取り上げている。「非情城市」は、台湾が中華民国に復帰した直後、台湾民衆が国民党に叛旗を翻し、その結果多くの台湾人が虐殺された1947年の二・二八事件を初めて正面から取り上げた作品としてよく知られているが、この作品ではまた、現代まで続く1945年以前からの台湾住民である本省人と、それ以降にやってきた台湾住人である外省人との間のエスニック的な対立の起源(内省人と外省人を分けている1945年という区分を成立させた主役は、内省人としては植民地支配者であり、外省人としては抗日戦争の相手であったかつて...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。