【義務づけ訴訟について】⑬
これまで、行政処分が発せられる前に、国民の権利・利益の保護のために、行政処分を引き出すあるいは差し止めるシステムは、法定されてこなかった。平成16〔2004〕年の行政事件訴訟法の改正により義務づけ訴訟と差止め訴訟を新設し、その要件等を法定したことで、その不備を補うこととなった。義務づけ訴訟は、学説・判例上、肯定されていたものであったが、実際には判例が消極的だったこともあり、実例に乏しいものであった。改正行政事件訴訟法は、これを新たに法定化することで、判例の積極的法運用を期待したものである。法定された義務づけ訴訟は、国民が欲する行政処分をなすべきことを求めるもので、...