第1 原告の主張
1 本件和解契約の成立について
ア)平成12年6月1日、原告は、乙野丙男を代理人とする被告との間で、本件和解契約を締結した。その際、乙野丙男は当事者欄に被告の署名及び押印し、被告のためにすることを示した。そして、これに先立ち、乙野丙男は被告から本件和解契約締結についての代理権を授与されていた。
この代理権授与の事実については以下の事実から明らかである。
平成12年6月1日当時、被告は乙野丙男に対し自己の経理一切を任せておりそれに関わる代理権を授与していた。そして、それに基づき原告被告間の取引おいて、乙野丙男が被告代理人として一切合切の取引を行っており、本件を除きすべて順調な取引であった。
イ)仮に、被告が乙野丙男に対し本件和解契約締結の代理権を授与していないとしても、表見代理が成立する。
すなわち、平成12年6月1日当時、被告は乙野丙男に対し自己の経理一切を任せておりそれに関わる代理権を授与していた。また、乙野丙男は被告の子であり、同年6月1日より数年前から原告との取引はいつも乙野丙男が被告名義で取引していたことから、原告は乙野丙男に本件和解契約締結についての代理権を有していると信じた。
ウ)仮に、本件和解契約が乙野丙男による無権代理であり、表見代理も認められないとしても、被告は原告に対し追認の意思を明らかにしており、本件和解契約は有効に成立している。
すなわち、平成12年6月1日以来、被告は原告に対し乙野丙男の無権代理行為について何ら否定の意思を表明していない。むしろ、被告は乙野丙男の行為につき黙認し、それを前提にして訴訟に臨んでいた。これは、被告答弁書にて弁済したとの事実を主張していることから明らかである。
2 書証(甲1)について
被告は、当該書面について署名押印をしておらず、乙野丙男が勝手に原告との間で作成したものであると主張している。
民事法総合演習Ⅴ(民事訴訟法)
平成17年(ワ)第170930号 貸金返還請求事件
原 告 「甲野モーターズ」こと
甲 野 太 郎
被 告 乙 野 次 郎
原告第2準備書面
平成17年○○月○○日
東京地方裁判所 民事部 御中
被告訴訟代理人弁護士 ○ ○ ○ ○
第1 原告の主張
1 本件和解契約の成立について
ア)平成12年6月1日、原告は、乙野丙男を代理人とする被告との間で、本件和解契約を締結した。その際、乙野丙男は当事者欄に被告の署名及び押印し、被告のためにすることを示した。そして、これに先立ち、乙野丙男は被告から本件和解契約締結についての代理権を授与されていた。
この代理権授与の事実については以下の事実から明らかである。
平成12年6月1日当時、被告は乙野丙男に対し自己の経理一切を任せておりそれに関わる代理権を授与していた。そして、それに基づき原告被告間の取引おいて、乙野丙男が被告代理人として一切合切の取引を行っており、本件を除きすべて順調な取引であった。
イ)仮に、被告が乙野丙男に対し本件和解契約締結の代理権を授与していないとしても、表見代理が...