白地補充権の消滅時効
テーマ「満期白地手形における白地補充権の消滅時効について論ぜよ」
白地手形とは、署名者が後日他人に補充させる意思をもって、手形要件の全部又は一部を記載せずに流通させた手形である。本来、手形要件を欠いた手形は要式性より無効となるが、取引における必要性から商慣習法上認められている。白地手形の法的性質は白地補充権と補充を停止条件とする手形金請求権を表象した有価証券である、と言える。
今回問題となるのは、手形の満期が白地の場合、白地補充権をいつまでに行使しなければならないか、という点であり、それを決定するには白地補充権の法的性質を明らかにする必要がある。
まず、白地補充権に関する判例を見ると、大審院昭和8年11月7日判決は白地補充権を財産権としての「形成権」と捉えて20年の消滅時効にかかると判示している。その後、最高裁昭和36年11月24日判決で上記の大審院判決を変更して、補充権の性質を形成権とすることは認めつつ、その消滅時効については、各種形成権の性質から個別に検討すべきとし、白地補充権に関して、補充権授与行為は商法501条4号における「手形その他の商業証券に関す...