生命保険は従来、被保険者自身の財産(生活手段)的保障よりもむしろ遺族あるいは被保険者自身の老後の財産的保障を主な目的とするものであった。しかし最近では、生命保険、年金保険の仕組みを用いて、様々な企業のニーズに対応した企業生命保険が、企業の利益保全手段として利用されることが多くなった。例えば、従業員・役員福利厚生、事業保障、割賦債権確保ニーズのほか、近時の財政赤字拡大のために生保会社が社会保障の補完的役割を担っていることがあげられる。
こうしたニーズによって生保商品を販売する生保会社は、寡占的企業であるから、販売される生保商品=生保約款は付合契約であり、かつ前払確定保険料主義によって予測的に保険料を算定し加入者から保険料を徴収して販売することができる。その結果、生保会社には必然的に厖大な生保資金が形成される。そしてこれら生保資金は、生保会社に本来の保険機能のほかに金融機関としての金融機能を与える要因となっている。厖大な生保資金をもって各種の巨大企業の株式・社債をはじめ不動産の取得や運用を行い安定的に莫大な利益を得るとともに、その運用成果をもとに生保契約者に保障機能を提供しているのであ...