学年を特定して

閲覧数771
ダウンロード数9
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    タグ

    資料の原本内容

       『学年を設定して「生活の単元」を一つ具体的に作成せよ。』
     本稿では、小学校第2学年次の「わたしのまちをたんけんしよう」という単元を例にし、以下のように項目立てをしながら述べる。
    1.単元のねらい
    この単元における目標は、次のように設定している。
    (1)子どもがそれぞれ自分の身近な環境に対する興味・関心を高めることができる。
    (2)子どもが自分の住む町や地域に対する愛情を深めることができる。
    (3)地域の人々と交流するとともに、普段自分の生活する環境に存在する施設や自然に対する理解を深め、自らが深くかかわっていることへの「気付き」や「感性」を持つことができる。
    2.単元構成の考え方
    この単元は学習指導要領における内容項目3、4、8に基づいて構成されている。その内容は次の通りである。
    (3)自分たちの生活は地域の人々や様々な場所とかかわっていることが分かり、それらに親しみをもち、人々と適切に接することや安全に生活することができるようにする。
    (4)公共物や公共施設はみんなのものであることやそれを支えている人々がいることなどが分かり、それらを大切にし、安全に気を付けて正しく利用することができるようにする。
    (8)多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと、自分でできるようになったこと、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生活することができるようにする。
    上記の3項目から単元を設定したことにより、この単元における基本的指導過程は「つかむ1・2」「かかわる」「発表する」の4項目の小単元に区分される。この4つの小単元における具体的なねらいについては、次のようにまとめることができる。
    (1)「つかむ1」の段階では、子どもが自分の住むまちに対し知っている知識や情報を他の子どもたちと相互に発表し合うことにより、自分のまちに対する基本的な理解を深めることができるようにする。
    (2)「つかむ2」の段階では、子どもたちのもつ情報を互いに理解し合った上で、まだ知らない場所や行きたい場所などに対する興味・関心を高めるとともに、探検のための計画作成や準備、注意事項についての理解を深め、探検への意欲を引き出せるようにする。
    (3)「かかわる」段階では、グループ内で協力し合いながら自分たちの立てた計画に沿った行動をし、まちにある施設や人々、自然にかかわることで、多様な気付きやまちに対する愛情を深めることができるようにする。
    (4)「発表する」段階では、まちで気付いたことなどの新たな経験や発見、知識として習得したことなどをまとめ、発表の準備をする。また、まとめて準備した成果をグループごとに発表し合いながら、まちの施設や人々に対する愛情を再確認し、深めることができるようにする。
    これらをもとに実際の単元展開時の計画を全12時間内と仮定し、次のように示すこととする。
    3.単元の展開例
    ここでは、各小単元の中から(1)を細案化し具体例としながらまとめることとする。
    (1)「つかむ1」この小単元は、「まちのひみつをしろう」という設題のもと、1・2時間を用いて学習するものである。この小単元におけるねらいには、「自分だけのまちの秘密をみんなに教え合い、自分たちの暮らす地域に対し関心を深める」ことにある。ここでの主な学習活動は、まず1時間目の30分で「自分の家の周囲の様子について話し合う」を行い、次の15分で「自分の知っているまちの様子について紹介し合う」、2時間目全てを活用し「話し合った内容から、実際に行きたい場所や見たいもの及び場所、体験してみたいことなどを見つける」となる。この学習活動をする際に留意すべき点については次のようになる。
    まず、家の近所の様子やそこで起こった出来事、近所に住む人々の様子やその人々の自然とのかかわり方など、身近な環境について話し合わせることが考えられる。これにより、子どもが普段何気なく目にしている様々なものを再確認させることができる。
    次に、周囲の環境を紹介する際、それを強制せず子どもが自分の知っている知識を教え合う時間にする必要がある。強制してしまえば、それは子どもにとって主体的な活動ではなく、義務的に感じてしまう場合や活動そのものに対する意欲を失わせる結果も起こると考えられることが要因となるものである。
    最後に、家の近所や家までの通学路を注意しながら歩くよう促すことがあげられる。これにより、新たな気付きや、見ているものへの再確認が行えるようになる。
    上記の留意すべき点を配慮しながら、評価する際の基準についてまとめる。
    この時間の評価基準としては、「まちの様子に対し関心をもち、話し合いの中で新たな興味を抱けているか」「自分の知っているまちの様子を他の子どもに説明できているか」「自分の行ってみたい場所や知らないことに対する興味をもち、活動に前向きに参加する意欲があるか」が考えられる。
    (2)「つかむ2」この小単元では、「たんけんのけいかくを立てよう」という設題のもと、3時間を用いて学習するものである。ここでの学習活動は、「まち探検の順序について話し合う」「グループをつくりそれぞれの役割を決める」「何をすべきか、何をしてはいけないのか、を把握し探検の準備を行う」ことである。この際留意すべき点は次の通りである。
     まず、グループ編成をする際には生きたい場所の共通している子どもを集めること、また生活地域が近所の子ども同士にするなど、学級の実態に応じる。
     次に、安全面に対する留意事項を事前に通達する。
     最後に、探検時間・範囲・持ち物を確認させ、理解させる。
    (3)「かかわる」ここでは、「まちをたんけんしよう」という設題に沿って4~8時間を使用し、実際にまちを探検する活動を実施する。主な学習活動は「計画に沿い、グループごとに探検する」「探検した場所で気付いたことをメモする」「別の日に同じ場所に行くと変化があるのかを調べる」ことが該当する。この際、保護者に事前連絡しグループを引率してもらうなど安全面の配慮を優先すること、商店街の人々に校外学習があることを連絡し訪ねてよい時間帯を聞いておくこと、メモを取るよう各グループに伝えること、などが留意点としてあげられる。
    (4)「発表する」ここでは、9~12時間を用い「まちで得た新たな知識や体験をまとめ、模造紙にまとめる」「まとめた成果を発表し合い互いの成果や知識を共有できるようにする」といった学習活動を展開する。この際、はさみなどを使用する場合の注意点や文字・絵・写真のバランス調整、自由な発想および発言をさせること、単なる気付きでなく気付いたことを理解し「知的気付き」に発展できるよう支援することが留意すべき点として求められる。
     以上が、小学校生活科における「生活の単元」の具体的内容である。
                                     R2F 大岡曜一郎

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。