<初めに>
国に対して提起される国家賠償訴訟の内容は,極めて多岐に渡る。その中でも主なものを例示すれば,
? ヒト乾燥硬膜の移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に罹患したのは,薬事法上の回収命令を発する等の行政権限の不行使に起因するものであるとするもの
? 裁判官による逮捕状・勾留状の発付や,検察官による起訴が違法であったと主張するもの
? 国道等を通行する自動車から排出される大気汚染物質により健康被害等の損害を被ったとするもの
? 基地・空港の騒音・振動等により環境権・人格権が侵害されたとするもの
? 我が国に居住する外国人に地方参政権を認めないのは違法な立法の不作為であるとして,慰謝料等を請求するもの
等と様々であり、その対象は,国の行政のあらゆる分野に及んでいる。
その中でも今回は空港問題に関して論じていきたい。
<判例>
大阪国際空港夜間飛行禁止等請求事件 最高裁昭和56.12.16 大法廷判決
【事実の概要】
原告Xらは、大阪国際空港に隣接ないし近接する地域に居住するものである。大阪国際空港は、昭和13年開設、昭和39年6月、ジェット機が乗り入れ、さらに、昭和45年2月、従来のA滑走路(1,826m)に加えてB化滑走路(3,000m)が供用を始めるようになって、Xらは、著しい騒音等の空港公害にさらされるようになった。
Xら居住地域における騒音量は、おおむね大型ジェット機で90〜105ホン、プロペラ機でも80から90ホンあり、WECPLN値(騒音量に機数を加味した単位で、24時間中における騒音の継続時間を積算してそれを対数評価したもの)も90〜95に達していた。政府が設定した環境基準は、住居専用地域で70以下、住居地域で75以下である。
空港公害について
<初めに>
国に対して提起される国家賠償訴訟の内容は,極めて多岐に渡る。その中でも主なものを例示すれば,
① ヒト乾燥硬膜の移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に罹患したのは,薬事法上の回収命令を発する等の行政権限の不行使に起因するものであるとするもの
② 裁判官による逮捕状・勾留状の発付や,検察官による起訴が違法であったと主張するもの
③ 国道等を通行する自動車から排出される大気汚染物質により健康被害等の損害を被ったとするもの
④ 基地・空港の騒音・振動等により環境権・人格権が侵害されたとするもの
⑤ 我が国に居住する外国人に地方参政権を認めないのは違法な立法の不作為であるとして,慰謝料等を請求するもの
等と様々であり、その対象は,国の行政のあらゆる分野に及んでいる。
その中でも今回は空港問題に関して論じていきたい。
<判例>
大阪国際空港夜間飛行禁止等請求事件 最高裁昭和56.12.16 大法廷判決
【事実の概要】 原告Xらは、大阪国際空港に隣接ないし近接する地域に居住するものである。大阪国際空港は、昭和13年...