乳幼児が多く死ぬ時代があった。この原因の一つを現代では、「マタ−ナル・デプリベーション」という言葉で表している部分が多くある。
二十世紀初頭、乳児院、孤児院などに収容されて育った乳幼児に高い死亡率や罹患率、また発育の遅れが多く見られた。当時施設では、風邪を予防するなどといった医学的な措置が取られたが、効果は上がらなかった。ところが、一部の施設で行なわれた個人的な接触や愛撫などの看護方法をとったところ、死亡率が減少したのである。これは、マタ−ナル・デプリベーション、つまり良好な母子関係の喪失や剥奪、によって母との絆を結べなかった子どもには死亡率が高いということである。
上記のことより、子どもの成長、及び安定した精神の発達とは、親密、安全、子どもが安心できるといったことが恒常的な場所でないと確立できないのである。通常、これは母親であり、またそれに変わる存在の事をさす。「マザーリング」と呼ばれる母親の愛撫、つまり身体的接触は、母と子を結びつけるものは生命維持のための依存である、という考え方に対して生まれたものであり、事実の一部を述べたものである。さらにその先に、特定の人、一般に母親との精神的な関係を意味する「アタッチメント」が母と子を結びつけているとしたのである。
この証明として発達心理学者であるハーリー・F・ハーローは、生後間もない子ザルにミルクが出る針金製の母ザルと、ミルクは出ないが柔らかい布で作られた母ザル模型を与え、子ザルがどちらの母親模型を選択するかという実験を行なった。その結果、子ザルは一日の大半を織布製の母ザルと過ごし、食事の時にだけ針金製の方に向かったのである。
愛着の形成について
乳幼児が多く死ぬ時代があった。この原因の一つを現代では、「マタ-ナル・デプリベーション」という言葉で表している部分が多くある。
二十世紀初頭、乳児院、孤児院などに収容されて育った乳幼児に高い死亡率や罹患率、また発育の遅れが多く見られた。当時施設では、風邪を予防するなどといった医学的な措置が取られたが、効果は上がらなかった。ところが、一部の施設で行なわれた個人的な接触や愛撫などの看護方法をとったところ、死亡率が減少したのである。これは、マタ-ナル・デプリベーション、つまり良好な母子関係の喪失や剥奪、によって母との絆を結べなかった子どもには死亡率が高いということである...