年金スポンサーの資産運用の目的は、短期的な収益の拡大ではなく定められた年金給付を確実に行うことである。そのためには負債側の認識により年金スポンサーの資産運用におけるリスク許容度を明確化する必要があり、資産運用においては、どこまで運用リスクが取れるかを検討する運用政策が鍵となる。その一つの具体化としての年金スポンサーによる資産のグローバル運用は、為替変動によるリスクに直面せざるをえない。以下ではグローバル運用における為替リスク課題への対応について、近年注目を集めている為替オーバーレイと為替ベンチマークの設定方法について述べることにする。
グローバル運用、国際分散投資における外貨建て資産への投資は、必ず為替変動によるリスクが付きまとう。とりわけ短期的な為替変動の方向性は極めて複雑な要因を伴っており、予測は困難である。仮にこうしたグローバル運用に伴う為替リスクを積極的にとっても、正のリターンが得られるかどうかは分からないのである。そのため為替リスク管理についての手法が発達してきた。
為替リスク管理戦略には、?ベンチマークの策定(ヘッジ無し、フルヘッジ、50%ヘッジなど)、?スタイルの策定(アクティブ、パッシブ、複合など)、?効率的な運用方針の策定、?マネジャー・ストラクチャー、などのプロセスが必要となる。このうち、?、?の一手法として最近注目を集めているものが「為替オーバーレイ」である(ニッセイ基礎研究所[2001])。
年金資産のグローバル運用における為替リスク課題への対応と為替オーバーレイ
年金スポンサーの資産運用の目的は、短期的な収益の拡大ではなく定められた年金給付を確実に行うことである。そのためには負債側の認識により年金スポンサーの資産運用におけるリスク許容度を明確化する必要があり、資産運用においては、どこまで運用リスクが取れるかを検討する運用政策が鍵となる。その一つの具体化としての年金スポンサーによる資産のグローバル運用は、為替変動によるリスクに直面せざるをえない。以下ではグローバル運用における為替リスク課題への対応について、近年注目を集めている為替オーバーレイと為替ベンチマークの設定方法について述...