老年者の大腿部頚部骨折に対する治療の困難さの要因
(1)患者は高齢者であり骨癒合能力が低下している。
(2)関節包内骨折であるため外骨膜がない。よって外仮骨の形成が期待できない。
(3)骨折線が垂直方向になりやすいので,骨片間に荷重によりたて方向にずれる力がはたらき,骨片間の離開がおき,骨癒合が阻害され,かつ変形をきたしやすい。
(4)大腿骨頚部への血行は主として頚部から供給されているため,この動脈が損傷され,骨頭の血行が途絶すると,血行障害のため骨癒合が遅れたり,癒えし合しても骨頭壊死をまねきやすい。
(5)老年者では体重をかけない動作をするよう指示しても守れなかったり,意欲が低下していたり...