1.シロアリ繁栄の現状
繁栄の状況を現存量(g/m2)で表すとすると、人口密度の比較的高い地域(250人/km2)における人間は10g/m2である。これと同程度の現存量を広範囲にわたって持つ動物群はシロアリ・ミミズ・アリの3種しかない。ここで、アリは動物や生きた植物を食べ、シロアリ・ミミズは枯死植物を食べるという点で、シロアリとミミズは前者が熱帯に住み、後者が温帯に住むという点で住み分けられている。
このシロアリは多くの個体からなる家族集団を形成し、さらに分業をも行っている真社会性の生物である。生殖はもっぱら王女・王が行い、巣の造営や防御・食料の調達はワーカーやソルジャーといった不妊個体が行っている。またキノコなどの菌類を巣の中で”栽培”している例もある。
2.分解者としてのシロアリ
上でも述べたようにシロアリの食料は主に枯死植物である。この枯死植物は地球上に多量に存在しているにもかかわらず、2つの理由によってほとんどの動物にとって食料たりえない。1つは、細胞壁の主成分であるセルロースが分解困難な物質であること。もう1つは、セルロースがほとんどN(窒素)を含まないことである。この問題をシロアリが以下に解決しているかは次で述べる。
このような他の生物が見向きもしない、しかし地球上に豊富に存在するものを食料として選んだ(選び得た)ことでシロアリは現在の繁栄を勝ち得た。それと同時に地球全体の系で見ても、シロアリによって資源が循環するようになった。”分解者”としてのシロアリの役割は大きい。
シロアリの繁栄とその共生系について
1.シロアリ繁栄の現状
繁栄の状況を現存量(g/m2)で表すとすると、人口密度の比較的高い地域(250人/km2)における人間は10g/m2である。これと同程度の現存量を広範囲にわたって持つ動物群はシロアリ・ミミズ・アリの3種しかない。ここで、アリは動物や生きた植物を食べ、シロアリ・ミミズは枯死植物を食べるという点で、シロアリとミミズは前者が熱帯に住み、後者が温帯に住むという点で住み分けられている。
このシロアリは多くの個体からなる家族集団を形成し、さらに分業をも行っている真社会性の生物である。生殖はもっぱら王女・王が行い、巣の造営や防御・食料の調達はワ...